少し話が堅くなりますが、前回からの流れに従い今回は、私がタウンマネージャーを務める北九州市小倉地区中心市街地活性化協議会の活動内容についてお話します。
同協議会は、2008年１月に改正中心市街地活性化法に基づき北九州商工会議所、北九州まちづくり応援団（株）により設立されました。協議会の目的、および役割は、（1）北九州市が策定する「北九州市中心市街地活性化基本計画」に対して、民間ベースでの協議・検討を行ない、意見具申を行なう（2）基本計画の国への認定後は、計画に掲載されている事業の実施について確認を行なう（3）基本計画の国への認定後は、これから認定・支援を受けようとする民間ベースの事業計画（特定民間中心市街地活性化事業計画）について議論するということにあります。
ここで、小倉中心市街地活性化協議会設立に至る経緯を前回述べたことの具体化ということも含めて少し述べておきます。
大店法（74年～00年）が廃止され商業調整も廃止されます。その後「まちづくり三法」が成立します。98年から00年にかけてのことです。
このうち、とくに大店立地法（00年）が大事です。この法律によって大型店の立地に際して、「周辺の生活環境の保持」の視点からの配慮を求めることに限られたため、大型店の出店がほとんど自由になったのです。
このまちづくり三法の施行により99年に、小倉都心地区中心市街地活性化基本計画を北九州市が策定します。さらに04年にこの計画に基づいてTMO（Town Management Organization）構想小倉版が北九州商工会議所により作成されます。地元商業者、商店街、事業者、関係団体などの意見が集約され計画にまとめられたわけです。その後、05年に北九州商工会議所がTMOとして北九州市から認定を受けます。このとき共同事業の事業実施主体となるまちづくり会社である北九州まちづくり応援団（株）が設立されます。
しかし、その後、前回にも述べた事情により、まちづくり三法の見直しが国により行なわれます。06年８月施行の同法の要点は、（1）国による選択と集中の強化、（2）多様な関係者の参画を得た取組みの推進、（3）国による支援措置の拡充、（4）コンパクトシティの推進、（5）床面積１万m2超の大規模集客施設が立地できる用途地域は「商業･近隣商業・準工業地域」の３地域に限定といったところです。
これにより従来のTMO構想は白紙になります。これは当然、全国同じ動きです。新たな「中心市街地の活性化に関する法律」により北九州市は、08年５月内閣総理大臣あてに「北九州市中心市街地活性化基本計画（小倉地区）」および「同（黒崎地区）」を申請します。そしてこの申請が同年7月に国により認定されます。
この時点で、１都市で２地区申請したのは北九州市が初めてのことでした。それだけ北九州市の中心市街地の状況が深刻になりつつあったということです。
さらに08年１月に、北九州市小倉地区中心市街地活性化協議会が黒崎地区協議会とともに設立されるわけです。そして、08年３月には北九州市中心市街地活性化基本計画に対する意見書を提出し、同年５月には中心市街地活性化本部により基本計画認定申請が受理され、協議会の活動が本格化します。
この当時の協議会での中心市街地活性化の事業は多数に上りますが、ここでは小倉中心部商店街（魚町銀天街など）関連の事業を紹介いたします。
・魚町銀天街ショッピングモール化事業
・インフォメーション事業
・チャレンジショップ事業
・共通駐車券事業
・魚町銀天街ICポイントカードシステム事業
・こくらハローズ事業
・おもてなしトイレ事業
・小倉まちなかいちおし自慢運動
・小倉地区賑わい回復イベント事業
・アーケード内の道路空間を利用した情報発信事業
・ちゅうぎん通り歩道改修事業
・ものづくり・歴史の散歩道 室町京町通り事業
・都心の公共空間活用事業
・空き店舗賃借料補助制度の拡充
・魚町３ 丁目複合商業施設開発事業
・魚町商店街コミュニティスペース建築事業
・鳥町食道街アーケード改築事業
今回は少々ややこしい話になりましたが、次回以降の小倉中心市街地における具体的な展開策を述べるについて必要なことでしたので、お許しください。
次回は小倉中心市街地における具体的なまちづくり策についてお話します。
（株）地域マーケティング研究所
代表取締役 吉田 潔
福岡市中央区天神4-9-10 正友ビル5F
TEL：092-713-2121
URL：http://www.mrkt.jp/
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら
