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理念条例から政策条例へ(2)~福岡市・行政改革の実態(37)
行政
2011年3月 2日 07:00

 地域毎に異なる特性に応じた多様な施策展開ができる政策法務的な工夫としては、前回ご紹介した「メニュー方式」の外に、「協定方式」があります。
 「協定方式」とは、この連載の12回と13回でもご紹介させていただいたように、福岡市の情報公開条例における「全国初の協定方式による第三セクターなど市の出資法人の情報公開制度」が好例です。

福岡市役所 この協定方式は、実は過去に「公害防止協定」として活用された経緯があります。非権力的な行政行為として非常に有用な手法でありますが、一番の課題は公正性でした。非権力的な手法ですので、行政と企業との話し合いのなかで、企業毎に協定内容が変わることもあり、その場合の客観性・公正性をどのように担保するのかが問われます。そこで、福岡市の情報公開条例では、第三セクターなど市の出資法人が営利法人なのか、公益法人なのか、あるいは、市の出資割合の25%以上なのか、50%以上なのか、という類型毎に標準モデルを示し、その標準モデルと異なる内容で協定を締結するときは、第三者機関である情報公開審査会の意見を聴くことによって、客観性・公正性を担保しました。

 なお、福岡市の生活交通条例においても、市が重点的に生活交通の支援を行う「特別対策地域」を指定するに当たって、その特別対策地域に必要な支援内容などについて、第三者機関である「地域公共交通会議」の意見を聴くことによって、地域毎に異なる施策内容についての客観性・公正性を担保することにしています。

<議会事務局職員の資質向上と育成>

 議員立法(議員提案条例)の政策条例への進化に当たっては、このような政策法務的な工夫に加えてさらに、議会事務局職員の資質の向上・育成という側面も重要です。

 福岡市では平成11(1999)年から、衆議院法制局に2年間、議会事務局職員を派遣しています。現在では6代目の職員が派遣されており、既に5人が市に戻ってきています。彼らは、2年間にわたり、国会の議員立法作業に携わる中で、厳しい訓練を受け、法制執務の専門的なスキルを身につけて帰ってきています。まさに人材は「人財」であると思います。

(つづく)
【寺島 浩幸】

≪ 第36回「理念条例から政策条例へ(1)」 | 

<プロフィール>
寺島浩幸氏寺島 浩幸 (てらしま ひろゆき)
福岡県立修猷館高校、福岡大学法学部法律学科を卒業。1987年に福岡市役所入庁後、総務局法制課、人事委員会任用課、情報公開室係長、市長室経営補佐係長、議会事務局法制係長などを歴任し、2010年8月退職。在職中、主に法律関係の職務に従事するとともに、市長直属の特命業務や議員提案条例の支援を担当するなど、市長部局と議会事務局の双方の中枢業務を経験。
 現在は、行政書士事務所を開業して市民の身近な問題の解決をサポートするとともに、地域主権の要となる地方議会の機能強化を目指し、議員提案条例アドバイザーとしても活動中。

<主な実績>
・日本初の協定方式による第3セクターの情報公開制度の条例化
・日本初のPFI事業(タラソ福岡)の破綻再生
・日本初の「移動権(交通権)」の理念に立脚した議員提案条例の制定支援

▼関連リンク
寺島氏ブログ
・ツイッターは、コチラ


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