1万2,000人の雇用創出。まるで実感がわかない。それだけの規模のものが本当に実現できるのか。持続可能なのか。福岡にとって真にいいものなのか。それを判断するためには、もう少し計画を明らかにする必要がある。
1万2,000人の雇用を生むためには、それに見合ったスケールの事業でなくてはならない。山崎氏の言う事業の根幹はパラマウントの映画テーマパークとUCLAエンターテインメントエクステンションである。後者については後述させていただくとして、まずは映画のテーマパークの事業内容を見てみよう。
テーマパークとは、テーマのある遊園地のこと。北九州市にあるスペースワールドは宇宙というテーマでまとめ上げられた遊園地であるからテーマパークということになるが、大宰府市のだざいふ遊園地などは統一されたテーマがないのでテーマパークとは言えない。では今回のテーマパーク事業のテーマは何か。言うまでもなくパラマウント映画である。
具体的にどのような内容となるかは分からないが、西部劇からSFまで豊富なコンテンツを有する映画配給会社であるため、多様なアトラクション展開が期待できる。では、そのアトラクションは何のためにあるのか。取りも直さず来園者を呼び込むためである。そして来園者は入場料を支払い、アトラクションを楽しみ、飲食をして、土産ものを買って帰る。このとき支払われるお金が、テーマパーク事業の収入の中心となるのである。
ERAの調査によると、テーマパーク来園者はひとり当たり約9,000円を園内で消費するという試算が出されている。これは日本における同程度の遊園地の平均的な数値に九州、福岡という地域性を加味した結果として出されたものだ。また、同調査によると年間の来園者数は安定した来場が見込める開業3年後の数値で約550万人が予想されている。ここから推定(消費金額に年間来園者数を掛けた金額)されるパークの年間売上は約500億円となる。
なお、本調査がなされたのはパラマウント誘致プロジェクトがスタートしたての2003年。当時の状況から、来園者数に中国や韓国などの外国人の数字はほとんど含まれていない。調査から8年が経過した今では海外からの旅行客も増加しているため、それも加味した来園者数となると、さらに上乗せしなくてはならなくなるだろう。
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