激戦が予想される選挙区が多いなか、福岡県議選では無投票になると予想されている選挙区は少なくはない。つまり現職県議の何人かが無投票で当選することに対し、(有)地域サービス(本社:福岡市東区)取締役社長・松永洋幸氏は、有権者のひとりとして疑問の声をあげた。
<普通の会社なら当たり前>
本年4月10日は、福岡県知事・福岡県議会議員・福岡市議会議員の選挙が行なわれます。私は、有権者のひとりとして、今回の選挙に"義憤"を覚えました。
選挙において、現職の候補者は、これまで任期4年でどのような結果を残したか、選挙公約をどこまで実行できたか、この2点をチェックする必要があると思います。一方、新人の候補者は、なぜ立候補するのか、何をしてきた人物なのか、政策の実行力があるのか、という3点が重要です。
私は不動産賃貸業の会社を経営しながら、同時に会社員でもありますが、前職の保険会社、現在の外資系保険コンサルティング会社の両方とも事業年度初めに成果目標を作成し、事業年度終了時に結果の検証を受けて昇給や昇進が決定していました。これは普通の会社では当たり前のことです。現在は公務員でもこのような評価制度があります。現職議員も4年間の成果を明確にして、有権者の検証と審判を受けるのが当たり前なのです。
一方、選挙の際、票目的で実行不可能な政策を平然と宣言する候補者も残念ながらいます。候補者の政策が本当に実現可能なのか、政策に無理や矛盾はないか、有権者は十分に吟味する必要があります。
また私は、投票率が低迷している現状に大変憂慮しています。明るい未来への第一歩は、候補者だけではなく有権者も責任を果たすことだと思うからです。
ところが、福岡県議選で、県庁所在地かつ政令指定都市の福岡市に『無投票』になる可能性が高い選挙区があることを知りました。私は「おかしい」と強く感じました。とくに今回は、福岡県議会の政務調査費(以下、政調費)の不正使用問題や、副知事の汚職事件があった直後の選挙です。
<恥を覚えた政調費の不正使用>
政調費の不正使用では、東海地方の地元紙にまで『問題ある使用例』として福岡県議の官能小説購入が紹介され、福岡県民として恥ずかしい限りでした。政調費の本来の使用目的は『政策調査研究などの活動』です。当たり前のことですが、それができない議員は政治の場から即退場すべきではないでしょうか。
私も含めて、現在の県議会に対する有権者の不信感は非常に高いものがあります。全国的にも議会改革が必要と叫ばれているなか、これまで改革のできなかった現職議員だけで、はたして真の議会改革ができるのでしょうか。
さらに、現職県議のなかには議会における一般質問文の作成を県職員に依頼している議員がいると報道されました。県議としての資質に強く疑問を感じます。
地方分権、道州制、地方自治体の財政改革、地方議会改革など課題が山積しているなか、行政のトップである首長と行政のチェック機関である地方議会の役割は重く、人選に当たっては投票で有権者の民意を反映すべきであることは言うまでもありません。今回の統一地方選においても全選挙区で選挙をおこない、有権者の審判を受けるべきです。そうでなければ既得権益を固守する現職議員に地方議会改革などできるはずがありません。
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<プロフィール>
松永 洋幸 (まつなが ひろゆき)
1972年4月生まれ。九州大学法学部法律学科を卒業し95年、損害保険会社へ入社。2006年有限会社地域サービスを設立。07年、外資系保険関連コンサルティング会社へ転職。大学生時代は合気道部で心身を鍛え、社会人となってからは消防団活動、マンション管理組合の役員、防火管理者などのボランティア活動に取り組む。⇒『松永洋幸氏の公式HP』