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ベスト電器は生き残れるか(8)~注目されるアドバン社
検証ベスト電器
2011年3月24日 07:00

 裁判の始まりは、原告のベスト電器が「営業委託契約として店舗の一部をテナントとして貸していたが、ピーシー社から一方的な営業の解約通知が来た」として、未払営業料などを含む約1,360万円を請求したことに始まる。

全店閉店したさくらや しかし、被告となったピーシー社の説明によれば、問題の根底あるのは2010年1月12日にベストが発表した事業再構築計画にあるという。ベストが同2月28日までに、さくらやの店舗を閉鎖すると決定したものだが、「事前に何ら連絡がなく、発表後に説明を求めても一向に何もなかったため、信義則上、営業継続が不可能な信用不安が生じた」とピーシー社は主張。さくらや川崎店に学校を開設していたが、ベストが3分の1の店舗を閉鎖すると聞き、「Winスクールのある店舗はほとんど閉鎖される。損害賠償どころか敷金も返されないのでは。もっと言えば、会社更生法も検討しているのではないか」と居ても立ってもいられなくなったようだ。そこで、受講生のことも考えながら段階的な閉校に踏み切った。

 一方のベスト側は、「さくらや川崎校はすでに09年10月ピーシー社から解約の申し出があり、実際12月に閉鎖している。契約上は10年4月まで営業料をもらう契約だった。裁判を起こしたのは、ピーシー社が中途解約し、しかも退店の際に店舗に設備の一部を残したままで、その片付けに費用がかかるため」としている。とは言え、ピーシー社は電話取材に対し、「もともとこれは店舗の賃借の問題であって、それを"営業料"と言い換えたに過ぎない。しかも、我々はきちんと払うべきものは払っているし、それをちゃんと証明している。現在は反訴というかたちで、こちらがベストに営業妨害に対する損害賠償や動産引き渡しなどで約3,000万円の請求をしている」という。

 ピーシー社がもうひとつ問題視しているのは、10年2月、北九州市小倉北区に本社を置く(株)ワールドインテックが100%出資するかたちで「アドバンスクール」というパソコン教室を運営するために設立された(株)アドバンの存在。本社はワールドインテック内に置き、スクール本部をベスト内に置いている。このアドバン社に、電子教材を不正にコピーされて盗用された疑いがあるというのだ。ピーシー社が作成したチラシの文言が、そのままアドバン社のチラシに転載されている箇所なども、裁判所提出資料ではいくつか指摘されている。

 ワールドインテックの担当者によれば、「当方は教材使用に関する合意書をきちんと交わしており、何ら問題はない。提携関係を一方的に解消してきたのはピーシー社で、あくまでベストに訴えられたことに対する論理のすり替え、言いがかりであると認識している」と主張。これに対してピーシー社は「もともと売上が見込めない場所であっても、業務提携していたベストの要請だったこともあり、順次開校していった。ところがアドバン社を設立し、いつベストが実力行使に出て追い出しにかかるかわからず、信用不安が生じていた」と反論する。

 現在裁判が進行中の案件で、どちらの主張が正しいかは今後の経過を待ちたいが、パートナーの信頼を裏切ったとされるアドバン社の去就には注目しておきたい。

(つづく)

【大根田 康介、流通取材班】

COMPANY INFORMATION
代 表:小野 浩司
所在地:福岡市博多区千代6-2-33
設 立:1953年9月
資本金:318億3,278万円
年 商:(10/2連結)3,456億1,900万円


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