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未来トレンド分析シリーズ

1千年に1度の国難、克服へ(3)~エネルギー戦略の再構築
未来トレンド分析シリーズ
2011年3月24日 15:00

 再建計画に先立ち、まず実行すべきは、この3月に交付される予定の特別交付税7,551億円を速やかにすべての自治体に配分することである。そのうえで、来年度の補正予算の編成にあたっては、大型の地方交付税措置を実施し、とくに被災した自治体に対しては地方交付税を大幅に加算する必要がでてくる。緊急に必要とされる生活費への対応や医療、介護施設での窓口負担の免除なども行なうべきである。また、今回の事態に対応するために税制減免策の導入も早急に検討せねばならない。

 いずれにせよ、かつて例を見ない巨大な地震と津波によるなか、長期的な影響は極めて深刻である。福島第一原発や第二原発など、原子力発電所に限らず、火力発電所や製油所も深刻な被害を受け、首都圏の停電首都圏でも計画停電に追い込まれた。1,500カ所で道路網が寸断され、48本の橋が崩壊し、15の鉄道が不通となったわけで、その被害の全貌はいまだはっきりしない。
 当然のことながら、各地で製造工場の操業は停止され、生産・サービス活動に大きな支障が出ている。もちろん、こうしたインフラや住宅の再建を通じて、新たな建設需要や雇用が生まれる面も否定できない。新潟県の福田組など、一部の建設業界の株価は地震発生と同時に復興需要を期待してか、異常なほどの急上昇を遂げはじめている。

 とはいえ、電力供給が再開されなければ、日本経済の回復も遅れる。建設工事も思うようにはかどらないだろう。福島原発の事故の影響で、日本全体の電力供給能力は15%近くダウンしている。火力発電所のフル稼働をもってしても、相当期間にわたって潜在的な電力不足と電気料金の上昇は避けられないだろう。

 電力供給の不足を解消するには、全国民あげての省エネだけでは間に合わない。新たな火力発電所の建設や新エネルギーの導入促進策が緊急に必要とされよう。現在、日本は原子力発電でエネルギー総供給量の1割(電力の3割)をまかなっている。原発の安全対策だけではなく、省エネの推進に加え、今回、リスクが明らかになった原子力に今後は過度に頼らないエネルギー供給体制を改めて検討する必要があるだろう。日本のみならず、各国で原子力発電の見直しの動きがすでに生じている。わが国が進めてきた原子力発電の輸出計画もとん挫を余儀なくされるだろう。

 ここは発想を一新する時である。地球環境問題にも配慮しながら、風力や地熱、さらには太陽光発電を組み合わせた、あらゆる自然エネルギー源を総動員するきっかけとするべきであろう。国家としてのエネルギー戦略を再構築せねばなるまい。それだけの覚悟がなければ、この危機を乗り越えることはできないと思われる。日本とすれば、原発に代わる新エネルギー源の開発に真剣に挑戦すべきである。

 たとえば、アメリカ空軍が導入を進めるアーク・プラズマ発電の試験的採用も検討に値しよう。被災地で発生した大量のゴミを材料にして発電するシステムである。瓦礫(がれき)の処分、クリーンな電力供給、新規雇用の確保、と3拍子揃うわけで、日米の協力のシンボルにもなるはずだ。原子力に代わる新たな電力供給のエースになりうる。
 最大の強みはコストである。20メガワットの発電所で5億ドルの建設費。被災地が求める早急な電力回復に限らず、日本全体の新エネルギー供給システムとしても実験導入は有効ではないだろうか。

(つづく)

【浜田 和幸】

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<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸(はまだ かずゆき)
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。


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