東北地方太平洋沖地震の影響で、セメント各社の株価が急騰している。
わが国におけるセメント業界のリーディングカンパニーである太平洋セメントは、3月23日に年初来高173円の値をつけた。25日現在は154円前後で取引されている。太平洋の子会社であるデイ・シイは24日に年初来高320円をカウント、25日は294円前後で取引。住友大阪セメントも同じく23日に年初来高269円の値をつけ、25日現在一時271円まで上昇、現在257円前後で取引されている。
今後、本格的な復興事業に伴ってセメント特需が急伸することは必至である。セメント協会によると、「1995年1月に発生した阪神・淡路大震災時は被害総額約10兆円。当時復興対策におけるセメントの供給は、400~500万t。この度の東北地方太平洋沖地震は阪神・淡路を上回り、被害額16~25兆円と2倍以上となる可能性もある。まだ現状がつかめていないので、具体的な数値を算出することはできないが、阪神・淡路以上の需要を上回るであろう。復興のために業界一丸となって支援していかねばならない」という。
また、太平洋セメント東北地方の製造工場が甚大な被害を受けて、セメント生産体制に影響が出るのではという懸念に対し「全社の8%程度であるので、他地区の工場でリカバリーすることができる」とコメントした。震災特需で、今後3~6カ月内でセメント業界が上昇するという見解である。
【河原 清明】
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