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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (104)
経済小説
2011年4月 2日 07:00

<敷金逆ザヤ解消>

 民事再生の混乱の中で、オーナーとの旧サブリース契約に関して、放置されていた問題がもうひとつあった。サブリースの家賃の逆ザヤは、12月以降、サブリースを一般管理契約に切り替えていただくことで解消していった。一方で、サブリースの敷金の逆ザヤは、11月の家賃が保全命令により送金不可能となったことで1か月分を敷金と相殺していただいたものの、なお億単位の逆ザヤが残っていた。これは、当社が各オーナーから回収する必要があった。
 オーナーの多くは、何年も前に物件を購入したときに当社から4カ月の敷金を預った、ということの認識が薄く、さらにサブリース契約が一般管理契約に変わることで、多い人では2割ほど手取り家賃が減少したということもあり、回収は困難が予想された。
 年末に黒田会長が関係先に挨拶周りする中でも、敷金の逆ザヤ問題について早く解決してほしいという関係先からの声があったため、会長が年明け早々に森永先生と協議。逆ザヤについては返済額を7割カットし長期分割にして回収、その代わりオーナーには回収が終わるまでの長期に渡り管理契約の継続をお約束願うこととして、監督委員の同意を得ることができた。逆ザヤ返済の一部カットは、配当原資を一見すると配当原資を減らすことになりそうだったが、サブリースが解約され違約金(家賃の6カ月分)を一斉に請求されたら配当どころか即座に破産、という状況であったためやむを得なかった。それに競争の厳しい賃貸管理業界において、長期に渡り管理契約を解約しないという特約があることは大変に有利なことであり、事業譲渡の対価への跳ね返りも大きいと思われた。

物件オーナーを組織し、オーナーズクラブのイベントを開催... 1月上旬、上記の内容について外部会場でオーナーへの説明会を行い、おおむね好意的に受け止められたようであった。また、同一会場でオーナーのみでの討議の時間も持っていただき、各オーナーが今後もDKホールディングスと付き合っていくべきかについても意見交換がなされたようである。この討議の過程で、オーナーが出資してオーナーのための管理会社を作ろう、という話が出てきたようだ。
 DKホールディングスでは、物件オーナーを組織し、オーナーズクラブのイベントを開催していた。これはもちろん、販売促進策でもあったがオーナー同士の交流も活発で、会社が関与しないイベントも頻繁に開催されていた。民事再生で大変なご迷惑をかけ、厳しいお叱りも受けたが、このようにDKホールディングスをいかに盛り立てていくかを討議していただけて、改めて、深く感謝の念を抱いた。黒田会長も、いかにオーナーに納得いただける事業譲渡先を選定するか、ということを最大の課題としており、譲渡先会社でも金銭的なこだわりは一切なしに顧問などとして勤務し、オーナーの定着までひと肌脱ぎたいという意向だった。
 このような努力の結果、1月末には、新会社に継承できる管理戸数は7,000戸程度であろうとの予測を立てるに至った。民事再生直前は10,000戸以上であったが、東京や名古屋の物件は撤退に伴い解約したことも考慮に入れると、手前味噌ながらかなり優秀な成果であるといえる。ただ大型の物件が予想以上に減少し、社員の給与水準をもとに戻すほどの収益力とはならなかった。

(つづく)

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