10日投開票の福岡県議選は、13選挙区が無投票となる一方で、混戦となっている選挙区もある。そのひとつが定数２をめぐり５陣営が争うかたちとなった春日市だ。
　前回の県議選（2007年）では、那珂川町と合わせて定数２であったが、選挙区および定数の見直しにより、今回の選挙では春日市単独で定数２となった。これによって新選挙区では、再選をねらう現職はひとりのみとなり、さらに新人４名が立候補した。

　唯一の現職議員である民主党の岸本善成氏（36）は、全国的に吹き荒れる党への逆風をどう克服するかが課題。警察委員として春日警察署の設置（2014年予定）に携わったことや一般質問などを１期４年の実績として、若さを武器に有権者へ支持を訴える。なお、初当選した前回の県議選では、春日市で10,655票を獲得。

　春日市議から今回、県議選へ初挑戦する自民党・農政連が推薦する無所属・松尾嘉三氏（42）は、市議時代から取り組んできた火事や水害などへの防災対策および地域ビジネスの振興による経済活性化、武道教育の振興などを訴える。
　同じく自民党推薦で、公明党と農政連も推薦する無所属・中牟田伸二氏（53）は、春日市長・井上澄和氏が応援。少子高齢化における地域コミュニティの充実、県民協働のまちづくりを訴える。政策には、防犯強化、渋滞解消、リサイクルなどを掲げる。

　今回、みんなの党の公認を得て立候補する中村孝三氏（61）は、党の認知度を自身の投票に反映させられるかがポイント。同党・渡辺喜美代表とともに写った選挙ポスターが印象的だ。政策では、４市１町合併による首長・議員などの大幅削減で28億超の財源を確保するという行財政改革を打ち出す。敗れた前回の県議選では、春日市で6,741票を獲得。

　松下政経塾出身の新人・平山喜基氏（36）は、無所属で立候補。03年の県議選で落選したのち、会社員、国会議員秘書を経ての再挑戦となる。少人数学級・外国語教育の充実、地域経済の活性化などを掲げ、有権者へ投票に行くよう訴えてきた。

　関係者によると、自民系の２陣営に協力関係がなく、互いに競い合うかたちとなったことも混戦の要因とのこと。「勝負はフタをあけてみないと分からない」というところが、各陣営の共通する所感であった。投票まで残り３日間、各陣営、懸命の選挙活動が終日行なわれている。

【山下　康太】

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