「コピー文化、ここまでくれば見事!中国のセントアンドリュース」
中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
日本ではプロゴルフツアーも開始され、本格的なゴルフシーズンが到来した。
世界4大ゴルフトーナメントのひとつ全英オープンの開催地で、ゴルフの聖地とも呼ばれるイギリス(スコットランド)の名門コース「セントアンドリュース」。
この世界の名門コースとそっくりなゴルフ場が中国にある。青島市から車でおよそ1時間半。黄海に面した海沿いにある海陽旭宝ゴルフクラブ、通称タイガービーチというゴルフ場だ。
2000年にオープンしたというこのゴルフ場、知名度はあまりないが、広大でフラットな立地に展開する本格的なリンクスコースなのだ。うねるフェアウェイ、傾斜の強いグリーン、荒れたブッシュ、生い茂るラフ、コース内に散らばるポットバンカーなど、全英オープンでテレビ中継されるセントアンドリュースそのものだ。風の強い日は海風を遮るものはなく、難易度はさらに高くなり、コース攻略もスコットランドのコースに近づき、本物と違う点はコース外の建物群だけのように見える。
プロのトーナメントと同じくキャディは1プレーヤーにひとり帯同し、筆者がプレーした日は、このコースのゴルフ研修生の若者が同行してくれた。この若者に聞くと、将来の夢はあこがれの全英オープン出場らしい。中国語と韓国語は話すことができ、日本語と英語も勉強中とのことでカタコトの日本語で熱心にコースの攻略法を教えてくれた。日本のゴルフ場と違う点は、キャディがプレーヤーの先に行ってボールを探すということはなく、黙々とプレーヤーの後ろに付いてきて、助言を求められた時だけ口を開くのだ。
ゴルフ場の周辺がリゾート再開発地に指定されていることもあって、今では他地域の中国人富裕層や韓国人のプレーヤーが増えてきているそうだ。また、全英オープンの開催日が近くなると、中国や韓国のプロゴルファーやトップアマが練習ラウンドに訪れるという。
ここまで来ればコピーも立派! 本物だ、偽物だの区別をすること自体が無意味な気がする。
【杉本 尚大】
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