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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (117)
経済小説
2011年4月15日 11:45

 その後、牧田社長からは新会社セントラルレジデンスの経営方針の説明があった。もはや他社のことであるため詳細は省くが、基本的には私が作成していた事業計画の素案をよりシェイプアップしたものであった。牧田社長らしく「"当たり前のことを当たり前にやる"会社にしよう」という決意表明があったが、これを私は好感をもって受け取った。具体的な成長戦略は、売買仲介に手を広げることで手数料収入の増加と管理物件の拡大を図るということであり、そのために従来から賃貸ショップで行なっていた賃貸仲介と新たに手がける売買仲介を、ともに稲庭専務の管掌下に置いたのが目新しく関心をひいた。

これまでのような豪華な宴会ではなかったものの... 総務部長からは新会社の給与・手当の体系について説明があった。そして転籍希望者は4日以内に転籍同意書を提出するように、との指示があった。今回の移籍を断って退職した場合は、まだ社会保険上は会社都合の退職と見なされ、新会社に転籍後に退職した場合は自己都合となるため、私は何人かの退職者が発生することを覚悟していた。社員のなかには、「今日の説明会を聞いて意思を決める」という人が何人かいる、という情報が入っていたからである。
 しかし退職者はごく少人数にとどまった。民事再生から4カ月が経過し、現場も少しずつ落ち着きを取り戻しているのだと思った。
 民事再生以前は比較的ルーズに社内で交際費を使用し、これを社内の親睦に役立てていたが、民事再生後は、そのようなことは許されなかった。しかし事業譲渡は明らかにひとつの節目であったため、私はこの機会にDKホールディングスとして最後の食事会を開催することとした。説明会とあわせて、近所のビジネスホテルの宴会場を利用した。これまでのような豪華な宴会ではなかったものの暖かい会となり、社員同士でこれまでの苦労をねぎらいあっていた。

 その同じ週に天神の貸会議室で、オーナー様向けに事業譲渡の説明会が開催された。
 当社に反対的なオーナーはすでに管理契約を解約されていたので、ほとんどの方が今後ともセントラルレジデンスと付き合っていこう、という顧客であった。説明は事業譲渡の経過を弁護士の森永先生から報告いただいたのち、牧田新社長が経営方針の説明を行ない、最後に新会社への移行の同意書に捺印のうえ、返送願いたい旨が案内された。
 最後に、非常勤取締役を含めた新会社役員の紹介があり、投資ファンドであるナンバショットインベストメンツの森田社長も紹介された。また、最後にオーナー代表兼世話役としてK不動産から入っていただいた年配のK取締役から、
「若い経営陣の若い会社ですが、どうか温かい目で見てやってください」
 という挨拶があり、大いに場が和んだ。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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