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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (119)
経済小説
2011年4月17日 07:00

平成21年5月以降 免責に向けて

<新生セントラルレジデンスの発足と旧会社役員>

 平成21年5月1日。本社のDKホールディングスの看板が掛けかえられ、新生セントラルレジデンスが発足した。前日に、セントラルレジデンス営業開始のリリースも出した。すでにスポンサー決定時に大きく報道されたいたため、新生セントラルレジデンスの営業開始はベタ記事で終わったが、看板掛けかえセレモニーを仕掛ければパブリシティができたのに、と少し悔やまれた。

 3階の不動産管理事業のフロアに牧田新社長が転籍した全社員を集め、朝礼を行なった。私は朝礼には参加せず、その間に、身の回りのものを整理して、2階に間借りしたDKホールディングス事務所の1席に移った。本日よりこの事務所に、岩倉社長をはじめとする役員が執務を開始した。常勤監査役1名にも同時に移っていただいたが、監査役については、次回の株主総会で定款を変更して、監査役を設置しない会社に転換することを予定しており、あと2カ月のお付き合いということが内定していた。

これから2階の小さな事務所で... これから2階の小さな事務所で、残る不動産や投資有価証券を処分しながら再生計画認可に向けて歩を進めていくのである。このなかで、黒田会長はあくまでもオーナー経営者として必要な場面では前面に立っていただくこととしていたが、民事再生申立以来無給であるため、支障がない範囲において不動産仲介などに取り組んで生活の再生を図っていただくこととした。3月末の債権者説明会でも、黒田会長としては今後セントラルレジデンスの経営に関与することはなく、今後は個人として不動産仲介などのビジネスに取り組んでいきたい旨説明していたので、よほど隠し財産があるとでも思われるような派手な事業展開をしない限りにおいては、債権者からもそう大きな批判はないのではないかと私は考えていた。

 一方、岩倉社長以下のサラリーマン役員は、民事再生申立時に大幅カットして少額になっていたものの、いくばくかの役員報酬をいただいていたため、基本的にこれらのメンバーで残務処理を行なっていくこととした。

 事業譲渡当日の午前11時。当社およびセントラルレジデンスがメイン口座を開いている地銀の支店の部屋を借り、そこで事業譲渡の決済を行なった。当社からは私、新会社からは牧田社長、そして本日からセントラルレジデンスの管理部長となった経営企画の元課長も同席した。まずセントラルレジデンスよりDKホールディングスに事業譲渡対価の本体価格の振込を行ない、次に資産負債継承目録に定めた継承預金額をDKホールディングスからセントラルレジデンスに振り込んだ。決済にはセントラルレジデンスのスポンサーであるナンバショットインベストメンツのファンドマネジャーも立ち会った。セントラルレジデンスは昨日、事業譲渡対価支払相当額をナンバショットからの増資として受け取り、本日の事業譲渡に備えたのである。事業譲渡の決済などという仕事こそやったことはなかったが、銀行の店頭での不動産の決済の経験はあったため、これに習ったのである。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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