福岡地方裁判所で複数件起こっている医療法人樹啓会(シティデンタルクリニック)がらみの裁判だが、そのなかで元同会相談役財務部長を務めていた中本春起氏が、同氏が代表を務める(株)アーネスト・フジエの上場を目的とした出資金を募っていたことは前回述べた。
その舞台となったのが、経営に関するある勉強会だった。この会は基本的に経営者層が参加するもので、中本氏とその妻もこの会に参加し、会の主宰者をはじめ参加者たちと親睦を深めていった。
2006年7月20日の福岡ベンチャーマーケットが主催する「ビックマーケット」出展の記録によれば、アーネスト・フジエの株主(発行数5,476株)には中本春起氏(3,696株)、樹啓会理事長の矢野匡氏(400株)など20数人が名を連ねている。会社・役員との関係には「勉強会の仲間」「社長知人」と記されている。
当時は、タッチパネル式街頭端末・不動産管理システム「Search Eye(サーチアイ)」は、新しい不動産業のビジネスモデルとして勉強会仲間の間でも期待されていたようだ。アーネスト・フジエは、グリーンシート市場への株式公開から上位市場への上場を目的に、勉強会の仲間に株式を発行することで資金調達していたと考えられるが、結果として上場は失敗に終わった。
08年7月の株主(出資者)への手紙は、再起に向けて準備するとの言葉で結ばれているが、その後の株主への連絡はないようだ。「出資金は返ってきていない」「きちんとした説明もなく紙切れ1枚で終わらせて済むと思っているのか」という関係者の声も聞かれている。
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