医療法人樹啓会(シティデンタルクリニック)をめぐる複数の裁判は、実は元同会相談役財務部長で(株)アーネスト・フジエの代表を務めていた中本春起氏と、同会(矢野匡理事長)の争いである。訴訟は中本氏側が樹啓会を訴えるかたちでおこされている。
ふたりの出会いは、中本氏が樹啓会に入る2005年以前、医者と患者という立場からだったと聞かれる。今では年間(09年9月1日~10年9月30日)で1,585本ものインプラントを手掛けた実績を持つ矢野氏は、1990年に福岡歯科大学を卒業後、約10年間の修行期間を経て01年にシティデンタルクリニックを開業した。
中本氏が患者としてシティデンタルクリニックを訪れた当時、同院はこれから事業を発展させていく過程にあった。治療を施し、施されるうちに意気投合したのか、ふたりは経営の話までするようになったようだ。やがて中本氏は、矢野氏のもとで医療法人樹啓会の経理・財務を担当するようになる。
同じころアーネスト・フジエという不動産業を営んでいたからか、中本氏は資金調達の面で力を発揮したといわれている。矢野氏も中本氏を信用していた表れだろうか、株主としてアーネスト・フジエに出資している。ともに勉強会にも参加していた。
一見すれば仲が良いように見えなくもないが、事実、ふたりは現在裁判で争っている。勉強会仲間でもあり、アーネスト・フジエの株主ともなっていた矢野匡氏は、なぜ中本氏と袂を分かつことになったのだろうか。
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