上海対外労務経貿合作有限公司 日本福岡駐在事務所業務代表　劉　剛

＜高齢者のために「今、できること」を考える＞

　現在、人々が一番心配しているのは老後の生活だと思います。特に体力が衰える75歳以降のことです。
　子供たちと一緒に住んでいれば、面倒を見てもらえるからそれほど不安がありませんが、もしひとり暮らしだったら、考えただけでも恐ろしくなります。そこで私は、「今、できること」を考え続けています。
　統計によりますと、2008年３月31日の時点で、福岡市の75歳以上の人口は約10万３千人（「住民基本台帳人口要覧」）に達し、市の総人口の7.5％を占めています。今後、高齢化が進む以上、この数字はさらに増えるでしょう。
　75歳以上の日常生活は、食事と病院を中心に展開すると言えます。しかし、自炊ができても、スーパーまでの買い物が大変。荷物を抱えて歩けないかもしれない。また、車の運転が無理に近い高齢者もいるでしょう。病院に頻繁に通うようになれば、毎回の往復にかかる交通費の負担も大きくなります。したがって、この２点について、誰かが手伝えば大助かりになると考えます。
　最近、よく新聞や雑誌で、流通業界への客足が鈍くなったことによる、スーパーの経営破綻や赤字転落などが見られます。そんな状況のなか、75歳以上の顧客層に目を向き、工夫することがあまり少ないという現実もあります。「購買力が強くない」「買い物量が多くない」と思う業者もいるでしょう。たしかに、ひとりあたりの買い物量は少ないでしょうが、全体で見れば無視できない需要量になるのではないでしょうか。

＜官の支援のもと民の主導による対策を＞

　まず、スーパー側と地元の行政・福祉機関が連携し、75歳以上のお年寄りに生鮮３品などを中心とした「お届けサービス」を提供してはどうでしょうか。そうすれば、スーパー側は一定の売り上げを確保できるし、社会的貢献という意味合いもあります。
　しかし、持続していく上では、スーパー側の採算が取れないといけません。当然ながらスーパー側は発送する時間帯や人員配置などを調整し、行政側からはある程度の補助（たとえば燃料費）を行なうべきです。そのほか、スーパー側への支援施策として「お届けサービス」を行なう店舗には、地域内の公的機関の関連用品の仕入れにつき行政・福祉機関が優先受注を承諾することで、同事業は一段と活性化します。
　次に、病院に通う時の手段について。ひとつ考えられるのは地域の民間企業などにお願いすることです。行政・福祉機関は、高齢者が頻繁に通う病院と開業時間の調査をした上で、通院ルートで便乗できる車を走らせるバス、タクシー会社などを募集します。
　地域貢献ができる上に、税制面などの優遇策で奨励すれば、実現の可能性は高くなります。
　そのほか、特定の公益組織を作り、「婚活ブーム」に便乗した定期（毎週）イベントを行なうのはどうでしょうか。内容は、通院する高齢者を送迎するというものです。奉仕活動へ熱心に参加する人は他人に対する思いやりにあふれ、活動のなかで共感を覚えれば、恋の歩みも速まり、将来の幸せにつながると言えます。
　今後、高齢化社会への対応が世界全体の大きな課題になる以上、福岡が成果を示せば、日本だけでなく世界のお手本になり、街も活性化するのではないでしょうか。

＜プロフィール＞
劉　剛（りゅう　ごう）
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年、「上海対外労務経貿合作有限公司」に入社。10年３月より同社日本福岡駐在事務所の業務代表に就任。以後、福岡に常駐している。趣味は読書。

＜会社概要＞
上海対外労務経貿合作有限公司
代　表：呉　鑑
所在地：上海市安遠路45号3号楼4階
　　　　福岡市博多区中洲中島町2-3（福岡駐在事務所）
設　立：1988年11月
資本金：1,100万人民元（約1.65億円）
ＴＥＬ：092-263-3388

※本稿は以下の書籍に掲載されています。

好評販売中!!　愛する福岡へ「201人の提言」

　このたび、弊社では「愛する福岡へ 201人の提言」を発刊いたしました。内容は、政治、経済、学界の有識者および福岡・九州で活躍する企業経営者が、それぞれの立場から福岡の未来に対する提言集となっております。本著には、以下でご説明するさまざまな活用法がございます。

活用法その１ 「企業経営の良き参考書」
　各界を代表する有名経営者の提言は、これから起業される方をはじめ、現在、経営に携わっている方への良きアドバイスとなるでしょう。経営戦略・人材育成・CSR（企業の社会的責任）など、内容は多岐に渡っており、さまざまな場面でお役に立つはずです。

活用法その２「営業先を知るための予習書」
　福岡を中心に各企業の代表がずらりと掲載されている本著は、各経営者の考え方や社歴を知るための予習書として営業ツールに最適です。

活用法その３「福岡の未来が分かる予言書」
　「予言書」とは言いすぎかもしれませんが、福岡・九州の発展のために、国会議員、自治体首長、地方議員の方々からいただいた提言も掲載されています。また、深い見識を持つ各業界のトップ・リーダーたちも、福岡のまちづくりに対するアドバイスを行なっています。

活用法その４「就職活動の参考書」
　これから社会へ飛び立とうという若者へ。就職後のミスマッチをなくすためにも企業の考え方の違いを知ることは重要です。就職を希望している会社の事前予習にも活用できる本著は、就職活動においても役に立つはずでしょう。

　ご購入をご希望の方は、下記リンク先のフォーマットからお申し込み下さい。代金は送料および税込みで2,500円です。

　ご購入申し込みはコチラ＞＞＞

*記事へのご意見はこちら