2012年3月31日に閉園を予定している香椎幼稚園(福岡市東区)。その50年以上続いた幼児教育を広く伝えようと、教職員と保護者らが中心になって作成している香椎幼稚園新聞「なかよしひろば」の第9号が発行された。同新聞は、常置されている福岡県立図書館のほか、関連リンクのHPでも閲覧が可能となっている。
第9号は、香椎幼稚園ならではの行事「ごっこあそび」のうち、毎年1月に行なわれる「郵便ごっこ」と「料理ごっこ」を紹介。また、学年ごとに異なる卒園・進級制作について、写真付きで紹介している。
「郵便ごっこ」は、社会教育の一環で「郵便の仕組みと働く人への感謝の心を育てる」ことのほか、「自らの気持ちを表現・伝達する喜び」「文字への興味を引き出す」といったねらいがある。一方、「料理ごっこ」は、『食育』という言葉が普及する以前から香椎幼稚園で行なわれている食育の行事で、料理の素材となる野菜の栽培についても園児たちが携わる。
香椎幼稚園の教育カリキュラムは、地域住民から高い信頼を得ており、香椎地区では親子で同幼稚園のOBということも珍しくない。09年12月9日、保護者らで構成された香椎幼稚園維持存続運動委員会は、維持存続に伴う6万1,339人分の請願署名を集めたが、この際、多くの地域住民、卒園生たちが世代を問わず協力した。
残念ながら、同幼稚園の移転までも視野に入れた維持存続については、行政および政界の反応は全体的に冷ややかであると言わざるをえない。
【山下 康太】
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