一方、自民党の公認を得て、城南区から立候補した元市収入役・北嶋雄二郎氏(61)。昨年(2010年)の福岡市長選では植木とみ子氏の後援会長を務めていたが、植木氏は途中で選挙運動を中止。同選挙で当選した現市長・高島氏を支持した自民党との関係など、さまざまな憶測が飛び交い、今回の出馬は当初、物議をかもした。そのようななか、北嶋氏は、組織票固めを進めるのと同時に、挑戦者として票の上積みを図らなければならなかった。
北嶋氏の支持者は、城南区堤の連絡所に、21時頃から集まり始めた。午後10時30分過ぎ、開票所の支持者から、逐一、開票状況が伝えられた。開票作業が進み「北嶋氏劣勢」という連絡がもたらされる。連絡所内には不安と苛立ちの雰囲気に包まれた。
午後11時30分頃、開票所より6番手で当選したという情報がもたらされた。次点との差はわずか273票。重苦しい雰囲気は一変し、連絡所では拍手が沸き、支持者同士が握手を交わしたり、抱き合ったりと一斉に歓喜に満ちた。
報せから約10分後、当確御礼の紙が張り出された連絡所に北嶋氏が夫人を伴い到着。集まっていた支持者に安堵と感謝の気持ちを伝えた。
北嶋氏は、今回の選挙戦について、「最後まで、どうなるか分からない選挙戦だった。城南区では、自民党から3人出ていたということや、東日本大震災による自粛や制限の影響もあり、新人には厳しい戦いだった」と、振り返った。低投票率への危機感も感じていたという。
また、今後の抱負について北嶋氏は、「定年を過ぎてからの出馬で、無謀な戦いだったかもしれないが、当選したということは『私にはやることがある』ということだと思う。若い方に混じって、ともに力をあわせてがんばっていきたい」と、述べた。
『逆風』と『無風』―。激戦となった城南区の2陣営が象徴するように、全区の新人候補者にとっては厳しい選挙であったと言えるのではないだろうか。
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