今回の東日本大震災および福島第一原子力発電所の放射能汚染により、金融機関も大きな打撃を受けている。特に市町村単位の狭いエリアで営業している信用組合・信用金庫や経営基盤の弱い第二地銀の一部も、取引先の多くが集中的に被害を受けており厳しい経営を余儀なくされるとの見方が強い。貸出金は回収不能及び延滞や返済猶予による不良債権の増加と共に、預金は生活資金や建築資金などに取り崩するため、ダブルパンチを受けることになる。
そのため政府は、東北地方を中心に東日本大震災の被害の影響を受ける金融機関に対し、 ペイオフの発動による金融危機の再来を未然に防止のため、金融機能強化法に基づく公的資金を一斉投入する方向で検討に入った。資本増強による金融危機の回避と震災復興を円滑にするには、投入規模は5,000億円が必要との見方。
特に震災被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県に本店を置く金融機関は、地銀8、信金19、信組10。
第二地銀の仙台銀行(本店:仙台市)が公的資金の申請を検討しており、取引先の被災状況がより明確になるにつれて他の金融機関も申請の動きが拡大するものと思われる。
【北山 譲】
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