11日、第二地銀の仙台銀行(本店:仙台市)が公的資金の申請を検討していると表明したのに続き、18日には七十七銀行(同)(自己資本比率13%)も公的資金の活用を検討する旨を表明。同行の142の店舗のうち16店舗が津波で損壊して休業しており、取引先の業績悪化による不良債権の増加による貸倒引当金550億円繰り入れるため、2011年3月期の連結最終利益は従来予想150億円の黒字から一転して300億円の赤字になるとの見通しを発表。被災地域の東北最大の地方銀行である七十七銀行が大幅に下方修正したことは、今回の震災被害が他の金融機関に与える影響はより深刻であることが明らかになった。
とくに市町村単位の狭いエリアで営業している信用組合・信用金庫は取引先の多くが壊滅的な打撃を受けており、その経営に与える影響は地銀に比べてさらに厳しい。金融庁は今回の大震災の影響を考慮し、経営責任は問わない方向で公的資金の投入を全信組や全信連を通じて急ぐものと思われる。
バブル崩壊後の金融危機は都銀を始め全国規模のものであった。今回は震災・津波・放射能漏れを主因とする東北地域に限定された金融危機ではあるが、一部金融機関が不測の事態に陥れば、ネットワーク化された金融システムが崩壊する可能性を秘めている。
そのため政府は、東日本大震災の被害の影響を受ける金融機関に対し、 ペイオフの発動による金融危機の再来を未然に防止するため、金融機能強化法に基づく公的資金を一斉投入する方向で検討に入った。資本増強による金融危機の回避と震災復興を円滑にするには、投入規模は5,000億円以上必要との見方が出ている。
金融庁は、壊滅的な被害を受けている中小金融機関へ投入した公的資金が回収できない不測の事態に対処するため、従来の業態別の合併でなく、第一地銀を軸に組織横断的な新しい枠組みにより、被災した中小金融機関を救済合併させる方法で金融再編を進めていくものと思われる。
【北山 譲】
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