福岡県在住の20代から40代の男女4人が、「無診療投薬などを受けて精神的損害を受けた」として、通院していた大野城市内の心療内科クリニックを相手取り、計120万円の損害賠償を求める訴訟をきょう(21日)、福岡地裁で起こしたことがわかった。
原告らの訴訟代理人弁護士は記者会見で説明を行なった。それによると、元患者の原告らは、それぞれ2008年から10年までの間、被告のクリニックで診察を受けた。そこでほんの数分の診療時間にも関わらず、診察内容が余りに無内容であった上、「今日は診察なしで薬のみ欲しい」と申し出ると、度々何ら診察を受けないまま処方箋の交付を受けていた。
ところが、請求書兼領収書を見ると「再診料」が徴収されており、これが医師法20条に明記されている「無診療治療の禁止」に抵触するとしている。また、診察をしていないのにカルテにあたかも診察をしたかのように虚偽の記載を行なっていたという。
原告らは、違法な処方箋の交付(無診療投薬)により再診料相当額の損害と無診療投薬が違法であることを知らないまま投薬を受けていたことによる精神的損害を含めた、不法行為に基づく損害賠償を行なうとしている。
記者会見に同席した原告のひとりDさん(男性39歳)は、同クリニックで気分障害という診断を受け、2008年7月3日から09年7月25日までの1年間で約40回通院し、22回無診療投薬を受けたとしている。他の3人もDさん同様に無診療投薬を受けていたという。なお、今回の裁判は刑事裁判ではなく損害賠償裁判であるため、被告のクリニックの名前は判決が出た段階で公表するとしている。
【矢野 寛之】
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