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未来トレンド分析シリーズ

世界の食糧危機をネタに大儲けを目論むアメリカのアグリビジネス(4)
未来トレンド分析シリーズ
2011年4月28日 07:00
参議院議員 浜田和幸

 ヨハネスバーグにあるアフリカ・バイオセキュリティー・センターの所長マリアン・メイエット氏は「今回の事態は看過できない。政府に働きかけ、速やかにすべての遺伝子組換え作物の栽培を禁止したい」との声明を発表した。モンサントの側でも事態を放置すれば、世界的にも悪影響が及びかねないと判断した模様で、当面約300軒の農家に対し、被害に対する損害弁償を行ないたいと申し出た。

 メイエット氏曰く「モンサントは実験室の段階でのミスが原因だと軽く考えているようだ。しかし、我々の判断は違う。バイオテクノロジーによる食品事業そのものが本質的に危険な要素をはらんでいることが改めて明らかになったと受け止めている。この問題は単なる実験室のミスでは済まされない。我々は長年にわたり遺伝子組換え作物に関する技術には警告を発してきた。早晩、深刻な問題が発生する可能性を予期していたわけである。今回、その懸念が現実のものとなった」。

ウールワース 南アフリカのスーパーマーケットチェーンであるウールワースでは、2000年から遺伝子組換え食物の販売を全面的に禁止している。それほど、消費者の間でも遺伝子組換え食品に対する警戒心が高まっていた。しかし現場の農家では、病害虫や雑草の除去に使う農薬に対して強い抵抗力を持つ遺伝子組換え種子に対する依存と期待は相変わらず高いままである。

 加えて、遺伝子組換え作物の場合には将来的に人間の健康にどのような問題がもたらされるか十分な検証が行なわれていない、という事実を忘れるわけにはいかないだろう。遺伝子組換えにより、かつて存在しなかったタンパク質が合成されるとか、タンパク質そのものの形状が変化する事例も明らかにされている。

 06年4月、インドでは殺虫作用を組み込んだ遺伝子組換え綿花を1週間食べ続けた羊の25%が死亡したとの報告があった。この「BTコットン」と呼ばれる遺伝子組換え綿花はモンサントが開発したものであるが、アメリカで使用が始まって以来、何万エーカーもの農地で植物の芽が奇形になるなど、想定外の問題が繰り返し発生したいわくつきの種子。そのためモンサントでは、農家への補償に数100万ドルを費やしたほどである。

(つづく)

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<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ かずゆき)浜田 和幸(はまだ かずゆき)
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。


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