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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (138)
経済小説
2011年5月 6日 07:00

堂島のコメ先物取引は、その後形を変えながら... 堂島のコメ先物取引は、その後形を変えながら昭和15年まで続けられた。昭和15年に、戦争遂行のために食糧管理法が施行され、これにより廃止されたのである。現在その堂島には、大阪証券取引所や商品取引所といった施設が建っている。これらは大阪米会所の直系の末裔であるといっていいだろう。
 株価の推移を示すグラフにローソク足というのがある。株価の変化を短に折れ線グラフにするのではなく陰線・陽線でその日の始値と終値を示し、日中の最高値・最安値を上下のヒゲで表現することで株価の趨勢を直感的に示せる優れものである。このローソク足グラフは、実は江戸時代に米相場を記録するために開発された。

 これらのエピソードをみても、日本は昔から市場とうまくつきあってきたことがわかる。日本が統制的な社会に移行したのは、いわゆる40年体制(昭和15年体制)のときであり、その残滓が戦後60年たった今でも根強く残っているわけだが、歴史全体としては、市場主義の時代のほうが長かったのである。したがって、「アメリカは市場原理主義であり、日本は共同体主義である」というような対比の仕方はやや単細胞的であるといわざるを得ない。

 それにしても、世界の金融資本市場が大津波に襲われるようなことは、避けられるにこしたことがない。ふくらみすぎた市場を規制する方法にいくのか、行き過ぎたレバレッジを規制するのか、投機的な商品に対する安全網を整備するのか、いまだ決め手を欠くのが現状だが、往々にして官僚の発想は規制強化が念頭にある。しかし、規制の強化から生まれるものは何もない。ここは違法だった空米取引を合法化することで、逆に米価の安定を図った徳川吉宗の成果を参考にして取組んでいただきたい。
 ポイントは、業界目線ではなく消費者目線で政策立案をすることであろう。徳川吉宗は米将軍と呼ばれ、コメ価格の暴騰が生活に与える悪影響を憂慮して、最初は市場と戦った。しかし、最後には市場の価格安定作用を評価し、味方につける判断をくだしたのである。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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