遊園地や技術習得施設だけをつくるわけではない。可能性という面では、それ以上かもしれないもの、それがコンテンツである。コンテンツとは日本語に訳すと「中身、内容物」となるが、実際上の使われ方としては「画像や映像、音楽、絵画、ゲームなどの情報」という意味合いが強い。そのコンテンツによるビジネスがコンテンツ産業と呼ばれており、これからの日本を支える柱のひとつと考えられている分野なのだ。
たとえば、日本から発信されている大きなコンテンツ産業のひとつにマンガがある。マンガはそれ自体がひとつの産業だが、派生的に、たとえば映像、音楽、フィギュア(人形・模型)、ファッション・服飾に至るまで幅広いものになっている。日本が海外に輸出している大きな文化の一端を担うまでに成長しているのである。ほかにも、世界をリードしている分野としてはゲーム関係も挙げられる。
そんななか、山崎氏はパラマウントを誘致することにより、日本にかつてなかったコンテンツが得られると考えているのだ。パラマウントは言うまでもなく映画配給会社である。その歴史は古く、1917年にまでさかのぼることができ、以来、数々のヒット映画を世に排出してきた。代表作は、麗しのサブリナ、ローマの休日、ゴッドファーザー、13日の金曜日、インディジョーンズシリーズ、タイタニックなどなど枚挙に暇がないほどだ。このパラマウントが持つ豊富なコンテンツこそ、山崎氏は重要だと考えているのである。
これまでアニメ以外の日本の映像作品が世界に出回ることはほとんどなかった。映画に関しては世界シェアのわずか数%に過ぎないと言われている。先述したが政権交代により、新たな産業創出のための柱として、このコンテンツ産業が見直されている。しかしながら、声は高々にとどろくものの、具体的な策が見えていないのが現状だ。
山崎氏は、コンテンツを重要視する点で政府と同じだが、一歩進んでいるのが具体策を持っていることである。パラマウントとUCLAエクステンションを呼ぶ。これはただ映画のテーマパークと教育施設をつくることではない。この真の目的は「ハリウッド日本支店」を福岡に持ってくることなのである。
【柳 茂嘉】
※記事へのご意見はこちら