先日、初めて訪れたガールズバーでの出来事。そこは接客する女の子が注文したカクテルを目の前で作ってくれるのだが・・・。
小生に付いた子は、入店1カ月の新人さんだった。最初にソルティ・ドッグを注文したところ、どうも手つきが怪しい。「すいません、まだ慣れてなくて・・・」と、恥ずかしそうに差し出したグラスの縁には、どっさりと大量の塩が付けられていた。「塩がなかったら、ただのドッグだからね!」と、苦笑いしながら飲み干した。
しかし、飲み放題と聞き、貧乏性の小生はあせって杯を重ねようとペースを上げた。ところが次の注文をすると、その子が奥に行ってしばらく帰って来ない。聞けば、レシピをカンニングしてきたという。
その店のメニュー表には、たくさんのカクテルの名前が並んでおり、「このほかにもあります」との但し書きもあったが、この調子だとすべてのカクテルが作れる保証がない。ということで、お店にあったカクテルのレシピを見せてもらい、「これはできる?」と、確認しながらの注文となった。「もう少しまぜたほうが・・・」「ちょっと分量が・・・」と、まるでお酒を使った化学実験である。基本的に完成するのは"オリジナルドリンク"であった。
その様子を見るに見かねたのか、「店が開く1時間前に来たら、教えてあげるって言ったでしょ?」と、隣にいた先輩の子がチクリ。しかしながら、素人すぎるというのも、ある意味、新鮮で面白いものである。
【長丘 萬月】
長丘 萬月(ながおか まんげつ)
1977年、福岡県生まれ。雑誌編集業を経て、2009年フリーライターへ転身。体を張った現場取材を通して、男の遊び文化を研究している。
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