21日、佐賀市富士町にある古民家「七年庵」で、中国哲学および日本の思想・歴史の研究家である橘一徳氏による「江戸しぐさ」と「葉隠」をテーマにしたセミナーが開かれた。主催は日本あすびの会。共催は姚江の会・九州とNPOまちづくり研究所。「七年庵」は、築150年といわれている茅葺き屋根の古民家で、一般見学のほか、ヨガ教室、陶芸教室、オカリナ教室などの習い事の場としても利用されている。
セミナーは前段に食事会が企画され、かまどによる炊き立てのご飯と囲炉裏で作った味噌汁、栄養価の高い鶏卵、手作りの漬け物などが振舞われ、会場からは、なつかしい味を絶賛する声が次々にあがった。
講義では、「武士道とは死ぬことと見つけたり」の一節で有名な肥前国鍋島藩士・山本常朝の著「葉隠」について、橘氏がその時代背景から語り、「いずれ訪れる死を覚悟して、今を一生懸命生きること」といった解釈を加えた。続く、江戸しぐさ(思草)では、参加者が実際に体を動かして、江戸時代から今なお受け継がれている礼儀作法を解説した。
参加者からは「歴史を感じさせる建物のなかで日本の伝統にふれることができ、たいへん勉強になった」と、喜びの声があがった。
主催の日本あすびの会は、地元の人と他所から来た人がふれ合う地域おこしの一環として同セミナーを企画した。橘氏によると、名前にある「あすび」とは、「明日備」と書く。「たくさん遊んで明日の仕事に備える」という意味が込められている。同会では、今後、富士町を舞台にセミナーや夏まつりなど、各種イベントを通じて、子どもからお年寄りまで、幅広い年代が交流する場を提案していく予定だ。なお、今回、開かれた橘氏のセミナーは、6月18日に第2回を予定している。
【山下 康太】
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