中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
<現代芸術のパフォーマンス、思想改造1年の刑>
中国南方都市報は5月7日、北京現代芸術館で3月20日に開催された芸術展での、芸術家「成力」氏による「敏感地帯」という過激なパフォーマンスにより同氏は北京警察に逮捕され、1年間の労働教育処分(懲役による思想改造)が下されたと報じた。
このパフォーマンスの芸術性はよくわからないが、ブタ鼻のお面をした女性とのアートセックスが題材らしい。芸術館の屋上と地下で、来場者200名あまりを前にして繰り広げられた芸術ショーはあっという間にネット上で話題になり、公安当局に知れることとなった。
中国の甘粛省蘭州市出身のこの芸術家は1954年生まれの57歳だという。名前が「成力」だけに精力はたいしたものだ。この芸術家の弁護士は、「来場者の200名は招待された芸術関係者であり、一般大衆ではない。そのため、芸術館は公共の場所にはあたらないとして、芸術的な観点から思想改造の刑は不当として再審を求めていく」という。
<教育か、虐待か>
北京鳳凰網によれば、同紙の記者が4日、広西省河池市で児童虐待の現場に出くわしたという。赤い服を着た男が、裸同然の10歳ぐらいの児童を後ろ手に縛り、路上を引きずり回したあげく、何度も平手でこの子を叩いていたようだ。この赤い服の男はこの子の父親らしい。すぐに公安警察を呼んで、やっとで男の子は開放されたようだが、体中傷だらけだったという。父親だというこの男は、子供が自分の金を盗んで遊びに使ったため、しつけをしていたと主張しているようだが、どうみても度を超えている。
こうした中国のとんでもない芸術や悲惨な虐待は、華々しい経済成長と表裏一体の、社会の歪みを映し出す鏡なのかもしれない。
【杉本 尚大】
≪ (15) |
*記事へのご意見はこちら