戦後最年少の福岡市長である高島宗一郎氏を支える副市長が、3人体制となって新年度のスタートとともに一新された。NET-IBニュースでは今回、各副市長にインタビューを実施した。トリを飾る3人目は、前市総務企画局長の渡邊正光氏。人工島事業など市行政に詳しい渡邊氏に、新市政の方向性などについて話をうかがった。
―3人の副市長のなかで渡邊副市長がハード面、山崎さんがソフト面、大野さんが防災・セキュリティ面という役割分担があると聞いております。そのなかで、渡邊副市長が選ばれた最大の理由について、どのように考えていらっしゃいますか。市職員の生え抜きとして、職員のやる気を出させる役割が大きいのではないでしょうか。
渡邊副市長(以下、渡邊) そうですね。これまであった総務企画局は2つに分けられ、企画調整部と国際部といういわゆるプランと戦略は山崎副市長が担当します。私は行政部と人事部を担当します。とくに、人事部を任されているということは、9,800人の市職員のことをより知っている者が人事を行なうべきということだと考えています。
―高島新市政に対して市職員はどのように感じていますか。
渡邊 高島市長はアナウンサー出身で情報発信に非常に長けています。しかし市役所はそういうことが下手です。現在、市職員のなかで、高島市長についていけるだろうかという戸惑いがあると思います。ただ、この戸惑いはだんだんなくなっていくと思います。そうなると、若い人から意見がでてくるようになると考えています。
-高島新市政の方向性はどのようにあるべきでしょうか。
渡邊 これまでの福岡市はうまく立ち回ってきたと思います。しかし、日本全体が変わろうという現在、「福岡市は今のままでいいのだろうか」という思いがあります。次の世代を担う若い人たちの意見を取り入れるべきだと思います。
携帯電話が小さなコンピュータといっていいくらい進化した情報の時代にあっても、行政はあいかわらず町役場的な考え方ではいけません。そのような情報ツールを使って市民の皆さんに伝えることを考えていかなければなりません。われわれ60歳になる人間は、このようなことが得意ではありません。しかし、若い人は簡単にできます。市職員の得意な部分を活用するという発想が大切です。高島市長はそれが非常に得意です。得意な人に担当してもらうと市政は良いほうに変わっていくと考えています。
私が経済局長のときにIRBC(国際地域ベンチマーク協議会)を福岡市に誘致しました。民間や大学に加入のお願いに行った時、「お金を出してください」「職員を出してください」「みんなでやりたいんです」と頼んでまわりました。その結果、産官学で一緒に連携してやっていこうということになりました。福岡のまちづくりを考える時、行政だけを考えてはいけません。産官学市民それぞれに行動してもらわなければなりません。
【文・構成:吉澤 英朗】
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