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天国と地獄の狭間~新興デベロッパーの倒産から再出発までの600日の記録 (152)
経済小説
2011年5月20日 07:00

<家庭のこと>

 本編で時折、私と家内および娘との対話が出てきたが、家内は夫の会社が倒産するという、市井の人としては極限の状態にも関らず、いたずらに動揺することなく家庭を支えてくれた。以前より医療専門職としてパートに出ており、自分の稼ぎを小遣いとしてピラティスに通うなどしていたが、民事再生後はそれを止めて、自分の収入も家計に繰り入れて生計維持に協力してくれた。
 家内は食費、医療費、自動車関連費などの費目に分けて家計を管理して、毎月の予算も立案していた。民事再生後はもろもろの経費の節約にも取組んでくれた。

 大好きだった外食は月1回程度にした。ビールは、プレミアムモルツからバーゲンブローに変えた。このバーゲンブローは、ダイエーが韓国メーカーに生産させている発泡酒で、1缶98円と安く、しかも発泡酒であり、リキュール類などに分類される「第3のビール」よりもかなりおいしい。家電製品のコンセントは徹底的に抜き、待機電力の発生を止めることで電気代も目に見えて減らした。

私はもともとクルマが好きで... 節約関係で特筆しなければならないのは、自動車関連費用である。
 私はもともとクルマが好きで、現在に至るまで10年以上、旧いメルセデスベンツに乗っている。これは1985年式の230Eというタイプで、96年に車両本体価格20万円で買ったものである。このタイプは76年から一貫して同じ基本設計で製造されたもので、その外観は85年という年式から想像される以上に古めかしい。私はその古めかしさが気に入って、ずっと修理しながら乗り続けているのであった(ちなみにメルセデスベンツの場合、この程度の古さであれば部品供給には何の心配もない)。年間の修理代は平均すれば15万円から20万円である。初期投資が20万円と少額で、その代わり毎年20万円の資本的支出をしているということになるが、そのトータルでのコストは国産のファミリーカーと大差ないと思っている。そしてメルセデスを修理しながら乗り続けることは、「飲む・打つ・買う」と縁がない私の、大切な趣味のひとつだった。

 一方、家内は今もクルマには関心はないが、子育てにクルマが必要とした。しかし、当初、家内は福岡市内の混雑した道を運転したことがなかったため、いきなり大きなメルセデスを運転することを尻込みした。そこで私は数年前に家内用に中古のフォルクスワーゲンポロを40万円で購入し、わが家は自家用車2台体制となっていた。ところが民事再生に伴い赤字家計となり、1台を廃車することとなった。民事再生を出したのは平成20年11月だが、折りしもその後平成21年3月でポロの車検が切れる予定であった。

〔登場者名はすべて仮称〕

(つづく)

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