<最後に>
このようにして私は民事再生から約2年を経て、ようやく解散登記までこぎつけた。手続の後半は非常勤取締役となり、ほかの会社に勤めながら会社の後始末を続けてきた。リーマンショックの爪跡はまだ生半しく、上場準備などの求人は皆無であったため生計のためにやむなく離職率の高い企業に勤務することもした。そこで19時くらいまで仕事をし、そのあとセントラルレジデンスの事務所に行って裁判所への提出資料を作るような生活が1年間続いた。
民事再生では、銀行やお取引先との債権者各位に大変なご迷惑をかけた。しかし会社として民事再生を誠実に進めた結果、不動産管理事業の新会社への継承を達成し、多くの社員の雇用を確保でき、これまでDKホールディングスで投資したシステムや固定資産も活用されることになった。民事再生の入口で解雇せざるを得なかった社員たちも、何とか約1年で皆新たな職場に落ち着いた。残務処理に当たったほかの役員も、逐次、次のビジネスを見つけていった。
今後は、私自身も新たなビジネスに挑戦することになろう。社員には雇用を確保し、役員も生活を再建し、新たなビジネスに挑戦することで再び地域の経済の活力として貢献してゆくことが、ご迷惑をおかけし、それにもかかわらず暖かい励ましの声を掛けていただいた債権者各位への最大の恩返しになると、私は考えている。
平成22年11月 著者記す
〔登場者名はすべて仮称〕
(了)
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