(社)博多港振興協会 会長 角川 敏行 氏
博多港に関わりを持つ運輸会社、船舶会社、商社などで構成される(社)博多港振興協会。アジアに開かれた港湾機能が求められるなか、博多港運(株)代表取締役会長で同協会会長でもある角川敏行氏に、これからの博多港のあり方について課題と展望を聞いた。
<ポートセールスが重要>
―まず、協会の取り組みと博多港の現状に対する考えについてお聞かせください。
角川 福岡市長も新しくなり、行政も変わりつつあります。そのなかで、高島市長は福岡を「アジアの玄関」から「アジアのリーダー都市へ」とおっしゃっていますが、どうすればそれが達成できるのか。その核心となるのが、まさに物流と観光だと思います。
当協会は会員企業約220社が加入しています。そのなかには、港湾に直接的に関係する企業だけではなく、商社やメーカー、サービス業など間接的に関係する会員さんもいらっしゃいます。福岡市の規模で考えれば、この会員数はかなり大きな組織だと思います。いろいろな幅広い意見を聞きながら、文字通り博多港を振興させていくための事業計画などを遂行していくのが、当協会の目的です。
また、会員企業の構成を見ると大手企業の支店が多いことが、当協会の大きな特徴の1つです。そうした大手企業の拠点という観点で福岡を見てみると、全国的に見ても10年前とはケタ違いに最重要戦略拠点という意味を持ってきました。こうした、地場だけにとどまらない活力やノウハウを我々が活用させていただいているかたちです。
アジアの拠点、アジアに向かって開かれた日本のゲートウェイなど、博多港はさまざまな表現があります。そのなかで、最近クローズアップされたのがクルーズ船の入港数だと思います。昨年が61隻で日本一だったということですが、これは1週間に1隻以上入っている計算になります。1週間に1度、豪華客船の姿が見られる港というのは、ほかでは例がないと思います。
入国手続きなどを短時間で効率的にできるように、関係する省庁さんも一生懸命やっていただいています。博多港は、ほかの港に比べて機能的に使いやすい港を目指しています。
また、物流について言えば、岸壁やクレーンなどハード面のほかに、物流の基本である3S(迅速にspeed、確実にsteady、安全にsafety)というソフト面の課題もあります。こうしたことを少しずつ改善しながら、より良い港づくりをしていきたいですね。
そのためには、ポートセールスが重要です。現在、我々の取り組みとして、年に数回上海や釜山などアジアを中心とする海外の港に視察に行っています。1つは、他国の港湾機能を知ることで博多港の発展につなげることが狙いですが、もう1つは、海外の港湾関係者に博多港の利便性について知っていただくのが目的です。
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<プロフィール>
角川 敏行(かくかわ としゆき)
1935年広島県生まれ。58年山口大学を卒業後、木下産商㈱に入社。65年三井物産㈱に移籍し、九州支社運輸部長などを経て、91年に 博多港運(株)代表取締役社長に就任。05年代表取締役会長に就任し、現在に至る。98年、(社)博多港振興協会副会長に就任し、03年より会長を務める。
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