阪神百貨店は2009年8月に全館リニューアルを完了している。ただし、地下食品売り場のみ今年(11年)3月に再度改装を行なった。阪神百貨店の売場面積は5万4,000m2。
阪急との経営統合により、同店との差別化がさらに求められる。一般的に同店の顧客は庶民的と評されるがそうした目で見ると、来店客の服装がよそゆきでなく普段着に近い印象を受けるのはたしか。店舗の特徴として良く知られているのが阪神タイガースショップ売り場。タイガースが優勝した際に大きく報道されることもあり、広く売場を確保していると予想した。実際はスポーツ用品売り場の一角を占めるに止まっていた。阪神関係者は阪急に比べ「サイズの大きい服」や「サイズの小さい服」の品揃えを充実させているという。また、取材のなかで「地域密着」というキーワードが再三聞かれた。「梅田の競争もさることながら関西全域で再開発が進んでいることを考えればエリアとして梅田が勝つことも重要」としてエリア間での競争を意識しているようだ。そのうえで地域密着の色を出していくという。
圧倒されたのは地下食品売り場の人の流れ。もともと強いと言われた同部門はリニューアルによりさらに強化されたと見られる。
大阪在住者は「再開発が進む駅北側に比べ南側に位置し、庶民的な阪神百貨店は立地と百貨店のブランド力で不利になっていくのでは」と厳しい見方をする。また、いくつかのブランドが今でも阪急と重なっており更なる差別化が課題となる。しかし、裏返せば百貨店業態に拘らない店創りが許される。また、立地においても大丸が入居する南側駅ビルと道一本はさんだだけである。脱百貨店路線を実現すれば最も潜在力のある店舗に見えた。
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