山口県の二井関成知事は、中国電力が山口県上関町(柳井市の南約20㎞)に計画中の上関原子力発電所について、予定地の公有水面埋め立て免許の延長を認めない方向で検討していることが明らかになった。免許は「着工から3年」が期限であり、2012年10月までに完成しなければ失効するが、地域住民の反対を受けて工事はほとんど進んでいない状況にあった。
また東日本大地震による福島原発の事故後、中国電力は山口県からの要請を受けて工事を一時中止しており、工事の遅れから期限内の完成は難しい状況にあった。今秋に免許延長の申請を計画していた中国電力は、大株主であり原発推進に前向きであった山口県知事の方針転換により、苦境に立たされることになる。また山口県知事の方針転換は全国で停止中の原発や新規の立地計画にも大きな影響を及ぼすことになりそうだ。
この背景には、
(1)第66回国民体育大会が、天皇皇后両陛下をお迎えして今年(11年)10月1日から10日間の日程で山口県で開催される。県民一体となって山口国体を成功させたい。
(2)来年(12年)8月には4期16年の任期で勇退。
を意識したものと思われる。
菅総理のエネルギー基本計画の白紙見直しの表明もあり、二井知事としては原発問題で縛られたくないとの政治判断が働いたものと思われ、6月の定例県議会で最終判断を表明する見通しである。
【北山 譲】
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