<ハコモノばかりに目が行くが・・・>
ある地方自治体の調理場の職員に退職金3,000万円超が支払われ、話題になった。調理場の職員、仕事を蔑視している訳ではない。 給食は衛生基準が厳しく誰でも出きるほど、甘くないことも「駅の先生」(私に駅で声をかけてきた調理員)より再認識させて頂いた。だからと云って、給食は公務員でなければ決してできない訳ではない。私は「公務員も民間も同じ人間で、同じ給食ができるはずだ」という考えから、民間委託を選挙公約に掲げたのだ。
<人件費を考えない経営感覚>
共同調理場方式、自校式、いずれの問題よりも、働く人の身分の判断を誤っては取り返しがつかない。サービスを受けたいからといって、公務員を採用するのは簡単だ。しかし、一旦採用してしまうと、公務員はよほどの罪を犯しても、民間のようにすぐにはクビにならない。
また、公務員の退職後に支給される年金を含む福利厚生の原資は税金で賄われており、ギリシャ、イタリアの財政圧迫の主因は、公務員の人件費と福利厚生であることは周知の事実だ。
<人を雇うということの重さ>
現在、「福岡県議会の条例制定数が少ないのは、議員を補助する職員が少ないから」という分析に基づき、50名を越える議会事務局職員の増員が議会側から要求されている。しかし、増員される職員の賃金、退職積立金、年金原資は県民負担であり、議員は出さない。
つまるところ、 県議会議員さんに条例を"作って頂く"には県民に「カネを出せ! 出さないならどこか(職員を引き抜き、その職員が従事していたサービス)を削る」と平然と要求していることと同じなのである。
<マニフェストの悲劇・議論だけで何も進まなかった8年>
平原前市長時代、マニフェストに議論が費やされているうちに、筑紫野市の共同調理場の耐用年数が迫ってきた。今年(2011年)2月に就任した藤田陽三市長は「災害時の対応についても考えに入れながら建て替え方針を決定していく(11年3月議会)」とし、調理数の上限が低い自校式ではなく、共同調理場の新設で、とのニュアンスを感じさせる市長答弁を行なった。
「浜武さんの云う民間委託でもいいから、せめて小学生、中学生だけでも分離してほしい」。
「自校式が理想だが、今の調理場と新調理場で当分の間、給食をつくる」。
「民間委託なら、業者に筑紫野市民(臨職)の雇用をお願いして欲しい。今、働いている方もいるのだから」。
私は夜の駅で、「どこで作るかよりも、今の給食そのものが問題になっていること」を熱くご教示頂いた。そうしていると、あっという間に時が経ち、終電がやってきた。
藤田陽三市長の11年度の市政方針演説は6月6日を予定している。給食センター建て替えをはじめ、藤田市長の「市政運営」に注目したい。
【浜武 しんいち】
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<プロフィール>
浜武 しんいち (はまたけ しんいち)
1965年10月23日、東京都大田区生まれ。74年、筑紫野市へ転居。84年、東福岡高校卒し、フリーデザイナーとなる。95年、久留米大学法学部を卒業後、政治家を志す。97年、筑紫野市議 落選(次点・626票)。99年、新党さきがけ福岡県支部筑紫野連絡所所長就任。2001年、筑紫野市議 初当選(1,200票)。03年、民主党福岡5区総支部常任幹事および同組織委員長に就任。05年、筑紫野市議 2選(1,581票)。07年2月、民主党福岡県連より除籍。同年4月、衆院福岡2区補選 落選(2,857票)。09年、筑紫野市議 3選(1,328票)。11年1月、筑紫野市長選挙に出馬、3,765票で落選する。
なお、政治活動のほか、理数専門塾(株式会社 FCS数学教室)の主宰、番組制作会社の主幹も務めている。
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