<震災被災地の一部を除き過去最悪タイ>
24日、厚生労働省は、文部科学省と共同で調査した2011年3月に大学を卒業した学生の就職状況を発表した。それによると、4月1日現在における大卒者の就職率は91.1%。これは、前年同期と比べても0.7ポイント減となっており、過去最悪の「就職氷河期」と呼ばれた2000年卒の就職率と並ぶ数値である。就職を希望していた学生約37万人のうち、約3万3,000人が就職できなかった推計になる。
ただし、今回の発表は東日本大震災の被災地の一部を除いた暫定値であり、すでに被災地における震災の影響による内定の取り消しなどが話題になっている。実際には過去最悪の数値を更新する公算が極めて高いといわざるをえない。
大卒者の就職率は、世相を如実に反映する。近年では、「プチバブル」と呼ばれた07年、08年頃はそれぞれ96.3%、96.9%と高い就職率だった。ところが、08年秋に起こったリーマン・ショックの影響で状況は一変。直接影響を受けていない09年4月での就職率こそ95.7%であったが、10年4月の就職率は91.8%と大幅な落ち込みを見せた。11年4月の就職率も引き続き低調な推移が予想されていたが、そこにきて今回の大震災の発生である。東日本――とくに東北地方への被害の爪跡はいまだ深く、来年以降の就職率も以前にも増して落ち込むことが予想される。
同震災の影響で日本経済が低迷していくなか、新たな若い力の参戦が阻まれていくような状況だ。今後の日本の未来に、ひと筋縄では払えないほどの暗雲が立ち込めているように思えてならない。
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