<調査委託費>
次に、NPO法人 市民オンブズマン福岡は、2009年度の福岡県議会政務調査費(以下、政調費)のなかから「調査内容が不明」とする「調査委託費」として支出された総額2,002万1,500円を今回の監査請求の対象とした。なお、同NPOでは、2010年12月3日、福岡県議会の各会派、議員に対し、委託内容、委託先の情報などに関する公開質問状を提出。そのうち、「詳細な回答があった」として、公明党県議団、民主・県政クラブの入江種文 前県議は、監査請求の対象から除外されている。
一方、監査結果では、「契約書や成果物を公にすると、委託調査などの内容が明らかになり、"自由"な議員活動・会派活動を制約。また、委託先との"信頼"関係を阻害し、以後の議会活動に支障を生ずる恐れあり」と、公開されなかった調査委託についての弁護がなされている。そして、「具体的な回答がなかったということのみをもって違法な支出の根拠とならない」と、結論付けた。
公にできない調査とは一体どんなもので誰のために行なわれたのか。また、少なくとも議会における質問など、議員活動のなかでアウトプットされる成果物がある以上、その関連性ぐらいは言えるのではないだろうか。
調査委託の例としては、アンケートなどによる意識調査など、リサーチ会社によるものがあげられる。だが、09年度の政調費収支報告書では、提出する議員自身が、個人情報などを墨塗りするルールがあったため、誰にどのような依頼をしたのかが不明な領収書も少なくはない。
政務調査費の不適正支出が、何度も報じられた今、"自由"を保護するあまり、県民からの"信頼"を損なっているのが現状だ。見えないからこそ高まる疑念もある。
【県政取材班】
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