1日平均約7時間が待機中で平均年収735万円という恐るべき勤務実態が明らかになった福岡市の黒塗り公用車(俗称、クロヌリ)。その運用にかかる費用だけでも約1.7億円にのぼることがわかった。
福岡市によると、クロヌリの購入費を含む維持経費は約2.5億円。その内訳は、クロヌリに直接かかる費用が約9,068万7,000円、クロヌリを管理する自動車管理事務所の職員の給与が1億5,538万8,000円、同事務所の光熱費が127万3,000円であった。
クロヌリに直接かかる費用の内訳は、購入費が8,345万3,000円、自賠責保険料が36万円(16台)、任意保険料が17万3,000円(22台)、重量税が54万円(16台)、車検(6カ月・12カ月点検)代金が225万1,000円、修理費が16万9,000円、燃料代金が374万1,000円。また、同事務所の職員は23人で、ひとりあたりの年収は平均すると675万6,000円となる。
クロヌリの購入費については、購入初期年度の費用が8,345万3,000円であり、公用車を10年間使用すると仮定すれば、この費用は年度単位で834万5,300円となる。この金額でクロヌリに直接かかる費用を再算出すると、年度単位で1,557万9,300円となり、同事務所職員の給与と光熱費を合わせた年度の維持経費は1億7,224万300円になる。
各種費用のなかでも、同事務所職員の人件費が約1.6億円と突出している。つまり、車両の使用期間を長くしたとしてもクロヌリの年間維持経費は約1.6億円を下回ることはない。1日平均22kmしか走行していないクロヌリ22台のためにこれだけの予算を使っていることへの違和感は拭えないのである。
【吉澤 英朗】
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