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積水ハウス100周年へ、生き残りをかけた経営戦略はあるか(12)
連載コラム
2011年6月29日 07:00

<海外事業の本格化~ユニオンジャックの矢(2)>

オーストラリア オーストラリアはアメリカと同じく、他民族国家、移民国家である。中国、ベトナム、インドなどアジア系の人々が流入による人口増が圧倒的に多い。自然増は少なく、富裕層の移民ではなく、人口増の主体は貧しいアジアからの移民である。
 単に人口が増加するというキーワードでは、事業のターゲットにはなりにくいのではないだろうか。いずれは彼らの努力で定着し、オーストラリア経済の中心を担うこともあるだろう。

 人口増がアジアの人々の移民であるという実体は、考慮に入れて置かねばならないだろう。オーストラリアの富裕層は白人が多い。近年まで、白豪主義がまかり通り、白人至上主義の国家を続けてきた国である。今でこそ、人種差別は法律で禁止されているが、その歴史の暗い影は、いまだに白人の心のなかには残っていると推測していいのではないだろうか。今でも国家元首はイギリスのエリザベス女王であることからわかるだろう。

 かつて、日本のバブル、高度成長時代、富裕層たちの老後をオーストラリアで、悠々自適に暮らせるよう、オーストラリアに日本の富裕層を呼び込もうとした計画があった。しかし、日本村ができることをオーストラリアの人たちに危惧され、いつの間にか立ち消えになったこともある。

 積水ハウスは、今から2年前の2009年、海外事業の突破口として、オーストラリアに200百豪ドルを投資して、子会社「セキスイハウス オーストラリアPTY Limited」を設立、本格参入を実施した。
 オーストラリアの住宅着工数は、大体年間15~16万戸くらいと思われる。市場としてはそんなに大きくはない。現地のデベロッパーとの共同プロジェクトとして参画、10年間で、総数4,000戸の分譲マンション、戸建の販売を目論んでいる。

 今年(11年)4月に、シンガポールにも住宅事業を開始すると進出を決め、発表した。高層マンションと複合大型商業施設を現地のデベロッパー2社と提携し、4年後の完成を目指すということだ。
オーストラリア、シンガポールも自由主義。民主主義と価値観を同じくする国同士、事業を展開する上では何の障害もない。

(つづく)

【野口 孫子】

※積水ハウスへの誹謗中傷するものではありません。

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