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積水ハウス100周年へ、生き残りをかけた経営戦略はあるか(1)
連載コラム
2011年6月14日 07:00

<序章>

 積水ハウスは世界に類がない、プレハブ住宅、工業化住宅という新産業を、この日本の地に、50年前、大和ハウスに呼応するかのように誕生した。自動車、鉄鋼、電機などの産業は先進国のまねをすれば、危機に対応することもたやすいのだが、見習うべき先進の企業もなく、羅針盤のない船出をしていったのである。

 それまでの日本住宅は、地場の大工さんを中心とした注文住宅が主体であった。零細な工務店のため、価格、工期、品質が不透明なケースも多かった。ゼネコンはビルの受注が主力で、小さな住宅には見向きもしてなかった。そこに、異業種の企業が隙間産業的に、あらかじめ工場で生産したものを価格、品質も、信用のある企業が作る、プレハブ住宅が脚光を浴びていったのである。
 昭和30年代は未曾有の住宅不足の時代であった。政府も住宅金融公庫から低利で融資するという支援もあり、急速にプレハブ産業は新規の参入もあり、活況を呈し始めたのであった。

積水ハウス 積水ハウスは当時「お客様第一」「工期厳守」「約束を守れ」を掲げ、全社員に徹底していた。これこそが原点である。地場の工務店、大工さんに、そのような言葉もなかった時代、建物は本格木造に比べ、見劣りはするが、積水ハウス営業の「お客さんのために、大切な財産を一緒に作り上げる」というひたむきな姿勢が徐々に浸透していったのである。しかし、創業以来、右肩上がりだった住宅需要も、1987年をピークに右肩下がりに転じ、2010年にはピーク時の半分以下に落ち込んでしまった。経済の停滞、高齢化、少子化など、住宅産業を取り巻く環境は激変している。かつて経験したことのない構造的変化に直面しているのである。先進国の企業から、お手本もないゆえに、学ぶべきこともなく、羅針盤のない航海のなかで、経験したことのない嵐のなかに突入していっているといっても過言ではない。

 おりしも、日本国内の構造的変化、世界の経済金融の不安定、環境問題を内在しているエネルギー利用の変化、天変地変による大災害、予測不能の時代をどのように生き残りをかけるのか、経営者は英知を絞り、次の一手を打たねばならないだろう。

 先進国に手本となる企業もない、積水ハウスが過去経験した成功体験も通用しない。積水ハウスの総力を挙げて、この危機に向かっていかねばならない。積水ハウスの現状を分析しながら、未来への提言ができればと思っている。

(つづく)

【野口 孫子】

 (2) ≫

※積水ハウスへの誹謗中傷するものではありません。


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