世界最大の家具販売業者イケア。スウェーデン発祥の同社は、来年(2012年)4月に日本では6店舗目となる店舗を新宮町に出店する。一方、上海には1998年11月に進出。売場面積3万8,000㎡の2フロア構成。新宮店も3万1,000m2の2フロア構成であり、ほぼ同じ規模となる。
その上海店を取材したところ、開店間もない10時すぎにも関わらず来店客が連なっていた。主流の客層は、20~30代を中心として夫婦・カップルや、その両親らしき人々。行列が少しずつ移動していく様子は上海万博の行列を彷彿(ほうふつ)とさせた。システムキッチンやモデルルームに配したベッドなどを食い入る視線から熱気が放たれていた。
気持ちが良いのは従業員の売り込みがないことである。広大なフロアにもかかわらず、従業員が少ない。上海では、観光地だけでなくスーパーや百貨店でも圧迫感のある接客には辟易していた。そのあしらい方も慣れてきたところでイケアの取材となったが、拍子抜けした。用があっても従業員を探し回らなければならず、その従業員の説明もシンプルで執拗な売り込みなどはなかったのである。
消費者も洗練されている。あるスペースではパソコンが6~7台設置され、間取りをシミュレーションできるキャドが組み込んであった。20代の男女が誰に聞くでもなく自在に操っていた。
「デザインは優れているが、色が深く重厚な家具を好む年配の中国人には少し安っぽくも見えるかも」(現地ガイド)という意見もある。一方で、若者を中心とした多くの人々は、手ごろな値段でシンプルなデザインを楽しむライフスタイルの導入を望んでいるようである。
【鹿島】
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