(有)野口石油 代表取締役社長
福岡県連合協力雇用主会 会長
NPO法人福岡県就労支援事業者機構 理事 野口 義弘 氏
非行少年の就労支援で全国的にも有名な(有)野口石油の野口義弘氏。16年間で87名もの雇用実績により社会貢献活動が強調されがちだが、実は、同氏が経営するガソリンスタンド(GS)は洗車率全国1位、無借金経営を実践する優良GSでもある。非行少年の更生支援と企業経営の2つを貫く柱は何か。野口社長に話を聞いた。
<就労支援のパイオニア>
―非行少年の就労支援では、テレビや新聞でもたびたび取り上げられていますね。きっかけは。
野口 20年ほど前、「お父さんが所長をしているガソリンスタンドで非行少女を雇ってもらえない?」という妻からの相談がきっかけでした。当時、私は北九州地区で多くのGSを経営する会社に勤めており、妻は少年相談センターに在籍していました。私は採用も担当していましたので、まずは会ってみようという話になったのです。とても派手な身なりで素行も悪い少女でしたが、何度も話してみると非常に素直で第一印象とは全然違う。不思議に思いながら、会社には「お得意様のお嬢さん」ということにして雇うことになりました。
そこからの変化は劇的でした。とても真面目に働く頑張り屋で、素行もみるみる良くなる。商品販売でトップになることもありました。自分の居場所を見つければ子どもたちはこうも変わるのだということを、私自身、勉強させられました。
―子どもたちを見る目が変わり、地道な取り組みが始まったわけですね。
野口 まずは少年警察補導員として夜間補導のボランティア活動から取り組みました。少年たちと会話するなかで、家庭や親に問題があること、ほとんどが無職・無就学であること、愛情不足で居場所がなく、同情すべきかわいそうな少年たちであることがわかってきたのです。
勉強が苦手な彼らにとって、居場所とは働く場所です。私が独立して店を持ったのは95年でしたが、保護司をしていた妻の誘いもあり、さっそく「保護観察協力雇用事業所」として登録し協力雇用主になりました。開業当初ですから経営の面でも大変でしたし、当時は協力雇用事業所の意義もなかなか理解してもらえなかったですね。実際、100万都市の北九州であっても登録業者は5社しかなかったのです。
ただ、先にお話しした少女の件もあり、私自身は立ち直り支援に少し自信が出てきた時期でもありました。
【文・構成:田口 芳州】
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COMPANY INFORMATION
(有)野口石油
所在地:北九州市戸畑区初音町6-30
設 立:1995年5月
資本金:300万円
野口石油HP「野口さんちの油屋さん」
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