中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
中国の地方都市ではモータリゼーションの進展とともに、郊外型の巨大不動産プロジェクトが目白押しだ。青島では、2006年から3カ所の大型商業施設が計画され、09年に1カ所が竣工、残り2カ所は11年現在、建設中である。
驚かされるのはその規模の大きさだ。09年に完成した「青島城陽宝龍城市広場」は敷地が約20万m2、ヤフードーム約3個分で、延床面積は約70万m2、キャナルシティ博多の床面積の3倍にもなる。
「城市広場」とは「都市広場」という意味でショッピング、レストラン、映画館、遊戯施設、ホテルなどの複合施設になっている。
この不動産事業を展開しているのは、マカオを拠点とする「宝龍集団」という中国でもトップクラスの不動産開発会社だ。この不動産開発会社は福建省や江蘇省にも同様の商業施設を立ち上げ、他にも10カ所以上の地方都市に商業施設の建設計画があるという。さらに、道路のインフラ整備に伴い、都市と都市を結ぶ基幹道路にホテルとレストランを複合した「中国版モーターホテル」の建設構想も持ち上がっており、日本のラブホテルのノウハウを交えて計画構想が進められているらしい。
「世界の工場」から「世界の市場」へ急速に転換しつつある中国では、とにかく内需拡大型企業の元気がいい。ジェトロの中国事業環境報告にあったように、日本企業にとって製造事業投資の時代からサービス業を中心とした現地完結型の本格事業投資の時代が到来してきたようだ。
日本企業がいままで培ってきた技術とノウハウを、いかに「中国の器のなかに生かせるのか」、これが最も重要な課題なのだ。
【杉本 尚丈】
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