中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
日本では3,300店以上の店舗を構え、2010年には過去最高益を記録したファーストフードの雄、マクドナルド。一方のケンタッキーフライドチキンは店舗数1,150店(系列のピザハットを除く)、売上高に至っては連結でもマクドナルドの3分の1にも満たない状況だ。
ところが、中国では日本とは全く逆なのだ。ケンタッキーはすでに3,000店以上出店しているのだが、マクドナルドはやっと1300店を超えた程度である。この違いはどこにあるのだろうか?
一つは企業ポリシーの違いだろう。中国では外資企業の成功事例としてケンタッキー(肯徳基)の経営手法を賞賛する記事を多く見掛ける。それは「自社の商品を中国テイストに合わせたからだ」という意見だ。つまり、「郷に入れば郷に従え」という経営手法なのだ。現にケンタッキーのメニューにはありとあらゆる中国風チキンサンドが並んでいる。一方のマクドナルド(麦当労)は頑なまでにアメリカンテイストにこだわり続けているようだ。
二つ目の要因として、マクドナルドは中国人が欧米化していく時期を待っていたのだろうか。インフラ整備が整いつつある今日、13年までに2,000店舗まで拡大するという。2011年現在、全店舗の1割にも満たないドライブスルー店舗をモータリゼーションの進展とともに急速に拡大していく計画らしい。
また、幹部候補生養成のためハンバーガー大学を香港から上海に移し、30億円以上の人材投資も行っていく予定だという。
さて、このマックとケンタ(一部地域では、マクドとケンチキ)の中国決戦、軍配はどちらに上がるのか。先行ケンタにとって中国市場は唯一のドル箱、マックが値下げすればケンタも対抗している。今後の出店攻勢にも目が離せない。
【杉本 尚丈】
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