(有)野口石油 代表取締役社長
福岡県連合協力雇用主会 会長
NPO法人福岡県就労支援事業者機構 理事 野口 義弘 氏
<まずは耳を傾ける>
―話を元に戻しますが、いかにすれば若者と心を通わせることができるかは、多くの大人に共通する悩みです。
野口 子どもたちの話をゆっくり聞くことです。私のところに来る子どもたちは、規範意識が低く、善と悪の判断ができない子も多くいます。それは、親や先生からゆっくりと話を聞いてもらったことがないからです。
ゆっくり話を聞くなかで、「自分の気持ちを理解してくれた」「この人は自分が何かに困ったら助けてくれる」と感じたとき、彼らは初めて心を開いてくれます。私自身、そのためには大人が変わらないといけないことを学びました。
私の会社では、これまで87名の非行少年を雇い入れてきましたが、そこでの結論は、子どもに問題が起きる原因は100%家庭にあるということでした。子どもは教育によって大きく変わる可能性を秘めていますが、大人はなかなか変われません。悲しいことですが、場合によって子どもを家庭から引き離すことが必要なケースも出てきます。
―子どもたちが拠り所を失ってしまうようにも思えます。
野口 だからこそ、協力雇用事業所が子どもたちの「居場所」になる必要があるのです。一昨年のデータでは、全国の少年院の出所者は3,892人となっていました。出所者した子どもが再犯を繰り返せば本当の犯罪者になってしまいますし、暴力団に流れる可能性もあります。しかも、再犯率では、職に就いている者に比べ無職者は5倍と高くなります。
子どもたちの話に耳を傾けながら働く場を提供し、それにより職場での触れ合いのなかで人間として成長してくれれば、彼らにとっても社会にとってもプラスになってくれるはずです。
【文・構成:田口 芳州】
COMPANY INFORMATION
(有)野口石油
所在地:北九州市戸畑区初音町6-30
設 立:1995年5月
資本金:300万円
野口石油HP「野口さんちの油屋さん」
*記事へのご意見はこちら