大手小売店やCVSなど、日系流通企業の中国展開が続くなか、DgS(ドラッグストア)業界もそれに追従するかのように中国での市場開拓を図る動きがある。同社は昨年、中化生医科技股份有限公司(以下サモアバイオ社)へ2億円を出資。同社の100%子会社で上海に11 店舗を保有する上海百齢薬業連鎖有限公司(以下スマイリング社)を通じ、日本企業として初めて中国で店舗展開を開始した。ココカラファインの子会社で、大阪を拠点とするセガミメディックス(株)の店舗「セガミ」で出店している。
上海市徐匯区にある百貨店「美羅城」内の1号店を覗くと、化粧品をはじめ、健康食品、トイレタリー商品、日用雑貨、一般食品などを数千点以上のアイテムを揃えている。しかし、メイン商材であるはずの医薬品については取り扱っていない。その理由として、輸入医薬品の申請や認可プロセスには過度な規制があるうえ管理体制は何度も変更されているなど、申請が非常に複雑なものになっていることからといわれている。
店舗を見ると、まさにその意図を反映させている。化粧品コーナーに多くのスペースを割き、客層は若年層および中高年の女性が中心。人気の日本製品をはじめ、海外ブランドの商品をメインにアイテムを揃えている。また、健康食品は米国産のシリーズサプリメントが中心で、ビタミン類やオメガ3(DHA・EPA・DPA)含有の商品が多く、ダイエット食品や「キッズサプリ」とも呼ばれる子供用の商品の陳列も見られた。価格は40~400元までと幅広い。一方、日本産のサプリメントは1~2品目ほどしかなく、意外にアイテム数が少ないのも目についた。また国内に比べスタッフ数は3倍以上も多く、各棚割に3人以上の店員が配置されており、足を止めて商品を手に取るとすぐに店員が近寄って商品説明を行なう姿が多く見受けられた。
現在、中国DgS市場は、香港系企業の屈臣氏(ワトソンズ社)が大きくリード。店舗数600以上と他社を大きく引き離し、いわば「1人勝ち」状態にある。中国国内の進出を加速させている国内CVSやGMS、SM企業に比べ、DgS業界は先に述べた医薬品などの商品調達に関わる申請・認可取得の難しさや、過当競争と薬価抑制による利益率の低下のリスク、そして関税などの問題で中国進出に興味はあっても消極的な日系企業が多いのが現状だ。
しかし、国内市場の競争激化による市場鈍化から、中国、東南アジア諸国での市場展開を目指す企業は多い。富士薬品グループの(株)モリキは昨年12月に上海で新店舗「スタードラッグ」1号店を開店。グローウェルホールディングスは百聯集団グループ会社と、上海毎日通販商業との間で合弁会社を設立すると発表――など。今後は、DgS市場で激しい競争の幕開けになるのではないだろうか。
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