2005年1月、福間町と津屋崎町が合併し、福津市が発足した。同市は、福岡都市圏と北九州都市圏の中間に位置し、全国有数の海岸線や豊かな森林など風光明媚な自然を有している。人口約5万3,000人とそう大きくない地方都市ではあるが、オリジナルのブランド作りを形成しつつ、自然と共生する都市づくりを目指しているという。合併後の初代福津市長である小山達夫氏に今後の市政のあり方について聞いた。解説を織り交ぜながら、紹介していく。
<庁舎機能について>
05年1月24日、旧福間町と旧津屋崎町が合併して福津市として誕生した。しかし、庁舎に関しては今もなお、福間庁舎と津屋崎庁舎に役所機能を2分している。役所機能はバランスよく配置されているものの、一元化されていないことによる弊害も見受けられようになったと聞かれる。また、「現状のままで余計な経費を掛けることは反対」といった意見もあり、庁舎を統合すべきか否か注目が集まっていた。こうしたなか、先日、同市では市民に対してアンケートを実施し、広く民意を問うている。
その結果を受けて、「アンケートの結果、統合したほうがいいだろうとの意見が多かったことから、まとめる方向でいます。今まで意見がまとまらなかったのは、(機能の分担が)ちょうど半分ずつだったからです。福間庁舎は総合政策、健康福祉、市民部を受け持ち、津屋崎庁舎は都市整備部、地域生活部、教育委員会を受け持っていました」と、小山市長は語った。
しかしながら、統合すると別の問題も浮上してくる。福間庁舎に役所機能のほとんどを移管すると現在の福間庁舎が手狭になり、増築もしくは建て替えが確実に必要となる。
小山市長によると「増築せず議会機能だけ津屋崎庁舎に移管すれば、余計な予算を使うことはないと思い、市議会に是非を問いましたが、1票差で否決されました」という。いずれにしても行政サービスの効率化を前提に、新庁舎の建設が望まれることだろう。
<都市開発と地域活性化の構想>
小山市長は、地域活性化に力点をおく。
「まずは、長い海岸線の特徴を活かした町おこしで地域活性を行ないます。すでに福間地区では開発段階に入っています。海岸線は約22kmあり、その多くは砂浜です。海岸線の良さを活かして、海岸沿いに食の街道をつくりたいと考えています。全国に例がないからやってみようという考えです」(小山市長)
小山市長の大いなる構想には裏付けがある。あまり知られていないが玄界灘に面した福間漁港はマダイの水揚げ量は県内トップクラス。卸売価格も常に安定しており、高いブランド力を持っている。
その高いブランド力に着目し、地域活性化の第1弾を開始した。玄界灘の天然マダイを取り扱う同市内の旅館・料亭など18店舗が、それぞれこだわりの調理法で提供する「ふくつの鯛茶づけフェア」を5月14日(土)から6月12日(日)までの期間で開催されている。加えて、スタンプラリーも行なっており、協賛店となる各店舗を訪ねて食すれば、1食に対して1個スタンプを押してくれる。スタンプ3個で抽選が出来、福津の極みの商品が当たるというもの。このイベントは福津市観光産業活性化協議会などが主催し、「ふくつの鯛茶づけ」を大いにアピールする。この食の街道については民間企業の支援話も持ちあがるなど、同市にとっても大いに期待が持てるはずである。
【文:道山 憲一】
| (後) ≫
*記事へのご意見はこちら