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欧米エリート組織に立ちはだかる「ネクスト・ルネサンス」の壁(1)
特別取材
2011年6月15日 13:18
国際政治経済評論家 中田安彦(SNSI研究員)

会場入りするビルダーバーグ会議・ダヴィニオン名誉議長 毎年5月から6月になると欧米の有力者、著名財界人が130人ほど、ヨーロッパか北米のどこかのリゾート地に集まり、木曜日から日曜日までメディアをシャットアウトして会議を開く。それが「ビルダーバーグ会議」である。1954年に始まったビルダーバーグだが今年(2011年)は9日から12日の日程でスイスのサンモリッツから2キロ離れた5つ星ホテル「スヴレッタ・ハウス」で開催された。アメリカの大統領候補が選挙前に登場するなどの伝説を作ったこの「秘密会合」も時代の波に洗われつつある。

 まず異例だったのは、毎年、ビルダーバーグは、類似の世界各地域で開催される国際シンポジウムの開催日に重ならないように開催されていたのだが、今年はカナダで開催される「モントリオール国際会議」と日程が一部重なったことだ。通例、欧米のパワーエリートは、毎年、1月下旬にダヴォス会議(世界経済フォーラム)に出席して情報を蓄積した後、4月か5月に開催されるトライラテラル・コミッション(旧・日米欧三極委員会)に出席、その後に続くビルダーバーグやロシアのサンクトペテルブルク国際経済会議に顔を出す。その日程終了後に、G8サミットが開催されるというのがなかば慣例化していた。

 ところが今年のサミットは、ニコラ・サルコジ大統領のホストのもと、菅直人首相やオバマ大統領が出席してフランス・ドービルですでに5月下旬に開催されている。G8やG20がまがりなりにも次世代の世界秩序を議論する国家首脳の場であることを考えるとこれは極めて異例だ。ビルダーバーグの創始者のひとりである、アメリカの富豪デイヴィッド・ロックフェラーは、今回の会議の最終日である12日に満96歳を迎え、その他の主要メンバーである、オランダ女王のベアトリクスや、現在の名誉議長である、エティエンヌ・ダヴィニオン子爵(ベルギー元外相)やヘンリー・キッシンジャー元国務長官もかなり高齢である。

会場入りするロックフェラー すでにご存じの方も多いだろうが、もともとビルダーバーグは第二次世界大戦終結後、アメリカとヨーロッパが再び戦火を交えることがなく、協働して米欧主導の世界秩序の構築を目的に結成された会議である。創設者はベアトリクス女王の父親であるベルンハルト殿下やロックフェラーである。世界の金融界に影響力を持つロスチャイルド家は代理人を送るが直接にはあまり参加しないのが特徴である。ビルダーバーグは、現在の欧州連合の基礎となる1957年のローマ条約の草案を話し合ったことでもしられており、出席者には現議長のダヴィニオンを含め、欧州連合の関係者や欧州エネルギー産業の経営陣が多いのはそのためだ。欧州大統領のヘルマン・ファン・ロンパイ(ベルギー人)は今年の会合に出席しているが、この人選もダヴィニオンとキッシンジャーが行なったものである。米欧同盟(大西洋同盟)の基礎となってきたのがビルダーバーグである。

 もともとメディアが記事にしない秘密会合だったが、去年から公式ウェブサイトを解説し、参加者リストや簡単なセッションの議題を掲載している。参加者は130人弱。スイスでの開催だからスイスの政治家や企業経営者のスポット参加が多かったのが今年の特徴だ。

▼関連リンク
・ビルダーバーグ公式サイト
・動画化したものはこちら

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<プロフィール>
中田 安彦 氏中田 安彦 (なかた やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。

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