東日本大震災で被災した金融機関向けの特例措置を盛り込んだ「改正金融機能強化法」が、22日参院本会議で可決、成立した。
その骨子は、公的資金を注入しても経営責任を問わないことを明確にしたことにある。
公的資金を注入後に銀行や信用金庫・信用組合が経営難に陥った場合、合併や再編などを条件に返済を免除。また大震災の影響を受けた金融機関への公的資金の注入条件の緩和を盛り込んでいる。今までは自己資本比率が規制水準(国際基準8%、国内基準4%)を下回ったまま公的資金を申請すると金融庁は金融機関の経営責任を問うことができることから、申請に二の足を踏むケースが見られた。「改正金融機能強化法」の成立を待って、一斉に公的資金の申請が行なわれることになる。
地域金融機関には、業態別に「地方銀行協会」、「第二地方銀行協会」、「全国信用金庫協会」、「全国信用組合中央協会」がある。ある地銀幹部によると地方銀行協会の会合において、「東日本大震災の影響を受けた東北地方の銀行の話題は出ないし、ましてや他の業態の経営状況については全く話題にならない。むしろタブー視されている」また「金融庁検査や日銀考査は、震災の影響を受けた東日本の金融機関を避けて、西日本の金融機関に入っている」という。
風説の流布や金融危機の引き金となることを恐れてマスコミも報道を控えていたが、東日本大震災により壊滅的な打撃を受けた「信用金庫・信用組合」の実態は、免罪符(改正金融機能強化法)の成立によって明らかになるものと思われる。
【北山 譲】
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