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高塚 猛氏寄稿「日本は誇りの持てない国ではない」(中)
連載コラム
2011年6月29日 07:00

 残念なことにマスコミの論調を初め多くの国民は国の機能や仕組みを批判しながらもまだまだ多くのことを国に頼っている。国が福祉や公共投資を充実させるためには財源となる税収が必要だ。税収は率が高いことで増やすものではなく絶対額で増やすべきものだ。そのためには個々の企業が強くなり働く人の収入が増えることが前提になる。企業が利益を出すことだけに関心を示しリストラをしたり、給与をカットしたり、コストの引き下げばかりしていたのでは社会全体のパイは小さくなり起業家も働く人たちも危機感と悲観論で意気消沈してしまう。
 この繰り返しでは、たとえ企業が黒字になっても日本は豊かには成らない。なれないどころか明確な目標すら見失ってしまうことになるだろう。企業家や働く人たちがもっと強気になって自分のためと国のために革新を試みて欲しいと思うのだ。

 幸いなことにその兆しがみえてきた。今はまだ産みの苦しみの段階で、苦しみのほうが大きいかもしれないが新規で開業する企業数はここ数年確実に増えている。1年目で30%、5年目で40%、10年目で75%の企業が開業後に倒産しているという厳しい現状のなかで新規に起業する企業家が増えているのだ。倒産する企業の比率は裏をかえせば10年経ても25%の企業が生き残っていると言うことだ。新しい息吹が芽を出している証である。

企業 倒産した企業の主な理由は、開業資金が足りなくて無理をして資金調達をした結果、資金繰りに行き詰まったということ。それに中小や零細企業は給与が安いうえ不安定であるため優秀な人材を確保することができなかったことなどが挙げられている。
 だがこのふたつの面が今まさに解決されつつある。したがってすでに問題点ではなくなりつつある。
 金融の面では1937年以降の戦時臨戦態勢以降に強化されてきた金融システムが見直されてきた。少ない資本でも金融機関から多額の資金を借りて設備投資や資金繰りに回すという形をとっていた。ここにきて他人資本異存度を低下させて自己資本比率を充実するよう金融指導が行なわれることになった。
 すでに多額の借入金に頼って不動産を購入していた企業や設備投資をしてしまった企業にとっては資産デフレの煽りを受けてかなり厳しい現実にさらされているが、新規に開業する経営者から見れば背伸びした杜撰な計画では開業できなくなり小さく産んで大きく育てるという起業家精神が身に着くようになっている。しかも資産デフレのおかげで企業活動するに必要な資産が今までの常識よりはるかに安く手に入れられるようになった。したがって後発であるというデメリットは大幅に改善されたのである。

 採用の面では勤勉さを売り物にしてきた団塊の世代の大量離職による人の交流が本格的に始まったことである。つい数年前までは転職や給料の下落に馴染めなかった団塊の世代の人たちが生き甲斐を求めて新規企業や零細企業に参入してきたのである。今までは年功によって支えられていて捨てるにも捨てがたかった地位や給与を捨てざるを得なくなってきたことが大きく作用している。
 既存企業はこのことによって今後の給与の改定や人事制度を見直すだけで今までやりにくかった改革が精神的な苦痛を伴わずにできるようになった。そして新規に開業する企業や零細企業においても年功や年齢に捕らわれない真の実力主義を打ち出して採用活動ができるようになった。時間で働く人、知恵やアイディアで働く人、趣味に近いことで働く人など様々な形態で今までよりは満たされた気持で働けるような環境も整いつつある。

 なにが何でも狭き門である一流大学を目指し、なにが何でも同じように狭き門である一流企業に就職することが優越感を持てるということがこの先も続いていくならその人の人生行路はかなり早い段階で決まってしまい、子どもの頃に学んでおかなければいけなかった情操教育ができなくなってしまう。狭き門をくぐり抜けることが幸せなことであればそれを潜り抜け切れなかった人たちは幸せを掴めなくなったということになってしまう。幸せを若い内から諦めさせて一部の人だけがエリートコースを歩み、それ以外の多くの人たちが挫折感を育んでしまったら日本はおかしな国になってしまう。人事面でも以前では考えられないようなことが起こってきた。高校卒の安藤さんが日本の最高峰と言われている東京大学の建築学科の教授としてオリジナルな教鞭をとられている。

(つづく)

【高塚 猛】

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