「挫折・偉大な実兄・故上杉佐一郎先生に泥を塗った」

＜驚異の負債428億円＞

　誰もが耳にして驚愕したであろう。「福岡センチュリーゴルフ（FCと呼ぶ）の負債総額が、関連会社の創栄と合わせて428億円ある」という事実を耳にしてである。ゴルフ場の売上はホテル事業を含めた10億円足らず。だからいかに負債額が巨額であるか、その異様さに気づかれることであろう。FCの債権者で一番の被害者は、預託金返済債務者、すなわちゴルフ会員である。440名で267億6,017万5,000円にのぼる。ひとりあたり6,082万円の被害額だ。おそらく日本のゴルフ場倒産のなかでゴルフ会員ひとりあたり被害金額のでは最大記録ではなかろうか！！（債務一覧参照）

　それもまた経営が悪質だ。FCは1990年（平成２年）５月にオープンした。バブル絶頂期といえども誰が判断しても「いずれ行き詰る」という結論に至っていたのだ。それにはまず、普通のゴルフ場よりもはるかに広い50万坪の土地を擁していたことがあげられる。そして、贅沢三昧の嗜好を凝らした設計がなされていた。ゴルフ場敷地内には『ホテル センチュリーヒルズ』も建設した。極め付きはヘリポートの建設である。

　さらに、FCの代表である上杉昌也氏は、雲仙に高級温泉旅館『半水廬』を持っていた（筆者も家族４名で１泊したが、16万円を払った記憶がある。当時は、まだ従業員さんたちの細やかなサービス精神でのおもてなしがあったから感動して帰った。写真参照）。このFCのへりポートから"ひとっ飛び"（約25分）で有明海を超え『半水廬』に到着する。これだけの設備投資をすれば当然、負債が膨張するのが必然の成り行きである。

　悪質な経営とは次の通りだ。資金調達の大半が銀行借り入れなら同情の余地も少しはあるだろうが、大半が会員権預託金によるものである。当然、預託金返済の期限が10年後にやってきた。2001年（平成13年）のことである。「この返還を10年待ってくれ」と、ゴルフ会員に頼み込んだのだ。
　了解は取り付けられた。そして再度の返還期限が差し迫ったこの時期に、今度は民事再生法申請に切り替えたのである。申立書を見たら腹が煮えたぎるであろう（添付参照）。ひとりあたりの預託金6,082万円は間違いなく紙切れになるであろう。10年間、一縷の夢（「もしかして返還されるかも」という思い）を抱いてきた人たちにとって大ショックになったであろう。

＜平成13年には実質行き詰まり状態＞

　世間は甘いものではない。甘いというか弱い立場は預託金返還を待ち望む会員たちだ。預託金返還を10年延期の要請をする際にはFCに対して金融機関の厳しい干渉が入った。所有不動産の売却などを迫られた。ホテル、旅館、遊休不動産を売却されていった。あとで述べるFCの親会社格は、（株）京都通信機建設工業（ＫＴと呼ぶ）である。親格の当たるＫＴの不動産も手放す羽目となった。たとえば、福岡市では、中央区赤坂にビルを所有していたが、それすら売却したのである。

　親格がコケルということは子のFCも末期である証明になっていた。この時点で根本的な策を講じるべきであったはずだ。ただ、会員権メンバーだけが10年待ちぼうけを食らわされただけである。そして紙切れ同然になるだろう会員権が残った。結論を言えば「民事再生法を撤回させて自己破産に切り替える」べきだ。ゴルフ場を止めて他種目に転用する不動産売却を実行したほうが配当率は高まるはずだ。

｜　（後）　≫

▼関連リンク
・王将社長射殺事件と福岡センチュリーゴルフクラブの接点
・王将の第三者委員会「調査報告書」を読む～福岡センチュリーゴルフクラブの上杉昌也氏とのズブズブな関係（前）

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