<わが生活防衛には手段を選ばず>
「やらせメール事件」は事の本質を赤裸々にしてくれた。まずこの偽装賛成メール工作は、九電組織ぐるみであることが見えてきた。前副社長(原発事業担当)が司令塔であったようだ。「玄海原発の再開が1日でも遅れると火力発電の費用が毎日飛んでいく。これは大事だ2012年3月期は赤字になる」と、世論操作の禁じ手を行なった。一般人は「市民を愚弄して」と怒るが、もともと九電には「市民を尊敬する」という気持ちがまったくない。
九電組織は組織ぐるみで世論誘導に奔走した。2,000本におよぶメールで指示伝達がなされた。考えてみたらお粗末な限りだ。九電部長クラスのやり取りならば公になるはずがない。九電関連会社の若い社員にまでメールが届けば告発者がでることも予測できなかったものか?(次号で触れる)(1)九電組織は上から下まで滅私奉公。生活のためには結束をして手段を選ばない組織。市民に対しては軽蔑の念で固まっている。ただし若手世代にはそういう風土を嫌がる存在もいることが判明したのはせめての救いだ。「やらせメール」自爆テロ!! ありがとう。本質が赤裸々になったから市民も考え直すだろう。
原発の地元には国家の予算と九電の地元飼い馴らし対策資金をばらまく。玄海町を支配してきたのは岸本町長と岸本組社長の兄弟である。この二人の兄弟に対して九電は「至せり尽くせり」接待を繰り返してきた。30年前以上の昔であれば、全国各地に一族が地域社会を牛耳っていたところがあったかもしれない。ところが現在、玄海町のように二人の兄弟で町を制圧しているところがあろうか!!
岸本町長は大見えを切る。「原発がストップになれば玄海町は佐賀県一の貧困地域に転落する」。一見、傍若無人に見られる岸本町長の立ち振る舞いに町民たちは大賛同の姿勢を示す。「そうだ!!われわれ町民は原発様のお陰で飯が食えているのだ」。(2)町民たちの行動原理には「隣の唐津市、伊万里市がどうなろうと知ったことか」という特異性がある。現代世界において宗教戦争、民族戦争、エネルギー収奪戦争と数多くある。この日本国内において玄海町民のエゴで「安全を巡る戦争」が勃発する可能性があるとは信じられない。
<佐賀支店長の最大の役割は知事対策>
玄海町を懐柔できたとしてもやはり知事の権力は絶大だ。九電佐賀支店長の最大の役割は佐賀県知事を「原発推進派」に押しこめることである。今朝(9日)のある朝刊に「古川佐賀県知事に九電佐賀支店長が献金」と報じられていた。過去の支店長たちは「個人的に支援した」というコメントをなしていたが、どなたも信用しない。(3)九電という組織が原発推進のためにはあらゆる策動をなして県知事をたぶらかすことも白日に照らされた。佐賀支店長も知事対策に実績を残さないとその後の出世の道が閉じられる。それはもう必死だ。
余談だが、「やらせメール事件」の発覚がなければ、8日前後に古川知事は「玄海原発の再開はやむをえないかな」と公的見解を述べる予定であった。そこから玄海原発再開の流れが決まっていたものを!!(4)そして最大のあと押し勢力は経済産業省と国会議員たちである。経済産業省からの天下り、引き受け先の役目もこなしている。各方面と対策を打ち、腐れ縁・癒着関係が明白になった。「やらせメール事件」が一挙に根元的な変革を求める効果を担ったとは皮肉。今は、「経済産業省の顔をつぶしたことでどう九電側が修復するか」を興味本位でみている。
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